INTERVIEW 003 | SATIS

スタイルをもたないことをスタイルにする

設計: 森山善之/建築設計事務所バケラッタ
建主: Yさま

床面のステップをうまく使うことで、シャワーブーズの湯水がバスタブ側へ流れ出ないようにデザインされている。

床面のステップをうまく使うことで、シャワーブースの湯水がバスタブ側へ流れ出ないようにデザインされている。バスルームの先には、自然を取り込むコートヤードへの大開口が贅沢な空間を表している。
©LIXIL

バケラッタは豪邸を設計する事務所として知られています。常に稼働している物件は25件ぐらい、ほとんどが総工費1億円以上、最近は10億円前後の仕事も増えているそうです。森山さんの住宅設計に対する考え方はとてもユニークです。そのことから少し紹介していきましょう。

建築家 森山善之さん

建築家 森山善之さん 南青山の事務所にて。

リビングダイニング

100m2を超えるリビングダイニング、中庭とつながる明るい空間。このような外部から視線を遮り、内部に開かれた家のつくりが多いという。

自分自身のスタイルを持たない

設計事務所の多くは、建築家自身が考える自分のスタイルがあります。そのスタイルに共感する人が自邸の設計を相談します。しかし森山さんのスタイルは違います。建主によって毎回違うものができるそうです。自分たちのスタイルでなく、あくまでも建主の好みに合わせていきながら、それが全体として破綻が起きないようにサポートしていくのだそうです。森山さんの建主の多くは、世界中の良いものを見て、また上質な空間を体験している人たちです。すでに何度か家を建てている人もいます。建主はすでに自分がどんな暮らし方をしたいか、そしてどういう家に住みたいか、高いレベルで具体的な要望をすでに持っているそうです。その希望をいかに実現するかを考えます。建主は要望があるとはいえプロではありませんから、それぞれの単体のイメージが複合された時に、また空間全体の中でどのように映るかは想像しにくいものです。そこで建主の希望を模型で再現していきます。わかりやすく表現するために、実物のテクスチャーや色も忠実に再現していくのです。スケールダウンした模型を客観視することにより、建主自身で全体のバランスを判断していくことができます。そして建主が納得いくまで修正しながら何度でも時間をかけてつくり込んでいくのだそうです。最近はコンピュターのスキャニングや3Dプリンターなどの機械も発達したおかげで模型の再現性のレベルは格段に上がっているそうです。施主の希望を叶えるということを、いかに実現させるかという方法を探求し続けてきたのだそうです。

ひとつのプロジェクトで模型を何個もつくります。
ひとつのプロジェクトで模型を何個もつくります。

ひとつのプロジェクトで模型を何個もつくります。またその仕上げや色、家具など限りなく実物そっくりにつくりお客さんが自分の目で確認できるようにしています。

模型を写真に撮ることで、光の入り方などをリアルに再現していきます
模型を写真に撮ることで、光の入り方などをリアルに再現していきます

模型を写真に撮ることで、光の入り方などをリアルに再現していきます。素材のテクスチャーや色などにも気を使います。