INTERVIEW 005 | SATIS

開くことと閉じること。── 富山滑川の家

設計:原田真宏・原田麻魚/MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO | 建主:大倉憲峰さま(Stroog Inc.代表)

立山に向かって家の壁はすべて広がっている。
photo: daisuke shima

「富川滑川の家」は富山県滑川市の郊外、立山の山並に対峙するように建っています。1階をコンクリートでつくり、その上に下の構造とはまったく違う木構造のフレームが載せられています。というのも建主は木造の特殊構造の接合部を開発販売する会社のオーナーです。その木造特殊金物の技術を見せるための実験的なモデルルームを兼ねています。1階は開放的に、そして上部はグリッド状に閉じた構造が重なっています。この上下の構造上の通り芯はまったくあわずに独立したそれぞれの構造体が重なっているのです。これは建主の開発している厚み100ミリ超の大断面の加工技術があったからこそ実現した建築と言えます。

建築家 原田真宏さんと原田麻魚さん

建築家 原田真宏さんと原田麻魚さん。

下部のコンクリートの壁にまったくちがう構造グリッドの木造の壁を重ねている。

下部のコンクリートの壁にまったくちがう構造グリッドの木造の壁を重ねている。

原田さんから、建主の大倉さんの経営する木造特殊金物のカタログを見ながらこの建物に使われた接合部を説明してくれた。

原田さんから、建主の大倉さんの経営する木造特殊金物のカタログを見ながらこの建物に使われた接合部を説明してくれた。

無垢の素材が生み出す力

建築がいくらゴージャスでもハリボテ感のあるものはつくりたくないと言います。木は木として、コンクリートはコンクリートとして「無垢」の素材で空間をつくりたいのです。それは人間のもっている身体感覚に訴えかけてくるような自然体の建築です。ここでいう自然体とは長い歴史の中で体に刻み込まれた身体感覚にわかりやすく訴えかけてくれるようなもの。そこに人々は安心感を覚えるのだそうです。

玄関側から。構造上のグリッドの違う建物の構造がよく表れている。
玄関側から。構造上のグリッドの違う建物の構造がよく表れている。

玄関側から。構造上のグリッドの違う建物の構造がよく表れている。
photo: Ryota Atarashi

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公開日:2017年12月25日