INTERVIEW 009 | SATIS

カラフルなリュックサックのような家

設計:鈴野浩一・禿真哉/トラフ建築設計事務所 | 建主:飯島雷一朗・麻奈美さま

家の壁のクロスは建主の飯島さんご夫妻が選んだもの、パッチワークのように様々な壁面が違う模様や色のクロスが選ばれている。廊下の奥は玄関の脇の壁。大谷石が使われている。

家の壁のクロスは建主の飯島さんご夫妻が選んだもの、パッチワークのように様々な壁面が違う模様や色のクロスが選ばれている。廊下の奥は玄関の脇の壁。大谷石が使われている。
photo: Daichi Ano

建主の飯島さんご夫妻は親しい友人からトラフ建築設計事務所の鈴野さんと禿さんのおふたりを紹介してもらったそうです。決め手は「色を使うこと」。建築家の多くが真っ白な箱を好むことに抵抗があって、色使いのうまいふたりの作品が気に入ったのだそうです。もともと東京にお住まいでしたが子供が産まれるタイミングでご主人の実家の隣に引っ越してくる計画をしていたのだそうです。グラフィックデザイナーの奥さま麻奈美さんは代々木上原のご自身のアトリエまで2時間弱かかるそうですが、自宅にもアトリエをつくり、今では自然豊かなここの暮らしと都会へ出る楽しみの両方を満喫しているとのことです。
トラフのふたりに初めて会う時に飯島さんが持ってきたのはカラフルなリュックサックの写真。機能性と意匠性の両方を兼ね備えた家をつくりたいという依頼からこの家づくりは始まりました。

建築家 禿真哉さん

建築家 禿真哉さん

手がかりを見つける。

敷地は70m×15m、約1000m2の敷地、家は建築面積で115m2。どこに配置するのか、その手がかかりを探すのに敷地を何度も見たそうです。結局の決め手はご両親の家の「いちょう」と「桜」、その2本の大木をそれぞれ一番きれいに見える場所を選んだそうです。そしてもう一つの特徴は、家が積み木のように積まれていること。総2階の家の下の階を分割して、そこを引き離してさらに回転させています。その結果、家が浮いているようになり、地面から切り離されたように見えます。外からはとてもシンプルに見える家ですが、実は構造上かなりアクロバットな解析を行っています。2階までつづく柱は4本だけです。2階部分を「橋」のようなトラス構造にして全体を固め、それを2つの箱の上に乗せています。この回転させることも「いちょう」と「桜」をみるためには良い解決方法でした。1階のアトリエからは桜が、2階のリビングからはいちょうが最良の場所で眺められるように配置されています。

2階の建物が1階の2つのブロックの上にまたがって載せられている。

2階の建物が1階の2つのブロックの上にまたがって載せられている。

平面図 1階

平面図 1階(クリックで拡大)

平面図 2階

平面図 2階(クリックで拡大)

このコラムの関連キーワード

公開日:2018年02月28日