LIXIL × Architects - 住宅編 Vol.02

島田陽×SATIS : 伊丹の住居「家具のようにトイレを收める」

島田陽(建築家)

3.3mの天井高さがある2階のリビングルーム。奧はダイニングで床がさらに580?@下がっている。左側の壁から少し突き出した縦長の箱がトイレ。 / 撮影:鳥村 鋼一

住宅の中でトイレ空間は、たいがい目立たない隅の方に押しやられています。しかし島田陽さんが設計した「伊丹の住居」では、ゆったりとしたリビング空間の中央に面して配置されました。その入口は、一見したところ、トイレとは気が付きません。両側に開く木製の扉は、まるで洋服ダンスのようです。その扉を開けると、中にはLIXILのタンクレストイレ「SATIS」が置かれています。

洋服ダンスのような木製扉を開けると、花柄クロス張りのトイレが現れる。 / 撮影:笹倉 洋平

引き出しのような階段、テーブルとつながる床
建築の要素と家具が渾然一体

「伊丹の住居」が建っているのは、大阪近郊の住宅地です。袋小路の私道に面して、狭い間口いっぱいに、縦長の建物が立ち上がっています。隣の建物との隙間が少し広めで、その奧へと進んだところの側面に、玄関が設けられています。
中へと入ると、1階は夫婦の寝室と浴室・洗面所が占め、その間に箱の中に収められたような階段があります。それを上がると、2階にはリビングルーム。建築面積いっぱいに広がる、ダイニングやキッチンと一体となった空間です。天井高もたっぷりと確保してあり、この中にいると、狭小敷地の住宅であることを忘れてしまいそう。そしてダイニングキッチンとリビングで床の高さを少し変えることで、大きいだけの単調な空間になることを避けています。しかもリビングの床は、ダイニングテーブルとほぼ同じ高さ。テーブルと床がなだらかに連続しているかのような錯覚もおぼえます。

南側外観。隣地境界から500?@の外壁後退が民法により定められているが、この住宅ではでは東側の壁を900?@まで後退させ、玄関へのアプローチ動線を確保とするとともに、北側斜線を避ける約9mの軒高を確保した。壁からは収納やトイレの一部が飛び出している。 / 撮影:鳥村 鋼一
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1階玄関内に据えられた箱には、2階へと続く階段と洗濯機置き場が収められている。上部の隙間から2階キッチンが見える。 / 撮影:鳥村 鋼一
3階南側に設けられたデッキ。隣接するアトリエよりも床が一段高く、大きなトップライトから光が差し込むステージのような空間。 / 撮影:鳥村 鋼一

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公開日:2014年06月30日