地域振興の拠点として期待される「道の駅ましこ」(栃木県芳賀郡益子町)

益子町に誕生した県内24番目の道の駅「道の駅ましこ」

「道の駅ましこ」竣工時の南側正面。山形の屋根の起伏を3列にしてずらすことで奥行き感が生まれ、南北の大きなガラス面が、軽さと広がりを感じさせる。手前の県道側に150台分の駐車場を設置している(提供/道の駅ましこ)

「道の駅ましこ」を訪ねたのは、開業からちょうど10カ月を過ぎた2017年8月の休日。薄曇りにも関わらず、朝市には多くの人が訪れていた。150台分の駐車場の8割が埋まり、県外ナンバーも多い。
会場となった芝生広場には、石窯をライトバンに積んでその場で焼いてくれるピザ屋、かき氷屋、自家焙煎のカフェにカレー屋、自家製ジャムやピクルスの直売など、ちょっとおしゃれな屋台が並ぶ。出店者はみんな地元の人で、益子に移り住んだ外国人の姿もあった。
芝生広場の背後には、木の大架構が透けて見える大きなガラス張りの建物があり、軒下の半屋外には広々としたウッドデッキの気持ちの良い空間が提供されている。
ガラスを挟んだ屋内レストランからの眺めは、晴れた日は遠く那須連山まで見えるとあって、お昼近くになると多くの人が列をなしていた。メニューはもちろん地元産の新鮮な野菜が中心で、すべて道の駅オリジナルだ。

2017年7月にオープンした施設北側にある広々とした芝生広場では、さまざまなイベントが開催される。この日は月に一度開催される益子朝市で賑わっていた

朝市では、自家焙煎のカフェなどおしゃれな屋台が並ぶ。石窯を用いた本格的なピザ屋も出店し、会場を盛り上げていた

地元では顔なじみの外国人・ピアさんが販売するのは、地元の果物や野菜で作ったオリジナルのピクルスやジャム

「道の駅ましこ」の神田支配人(左)と、交流・広報リーダーの山アさん

この「道の駅ましこ」を運営しているのが、株式会社ましこカンパニーで、現在、正社員6名にパート25名が働いている。
支配人を務める神田智規さん(40歳)は、15年前に益子町に移り住んだ新住民の一人。カフェ・ギャラリーとペンションを経営しながら、町内で最もにぎやかな城内坂通りでの朝市をはじめ、町のイベントづくりを通して、いつの間にかネットワークのハブ的存在になっていたことから、支配人を任された。
「おかげさまで来場者、売上げ共に当初の想定より上回っています。オープン前の来場者想定数は年間30万〜35万人でしたが、6月時点で50万人を超えたので、70万人にはなるでしょう。売上も想定の1.5〜1.6倍になると予想してます。益子は観光地なので、お盆やゴールデンウィークなどは予想以上に観光客の割合が高くなりました。オープン以来すでに50回も来ているという地元のファンもいて、大変驚いています」(神田氏支配人)。

右手が総合案内所「ましこのコンシェルジュ」。ここでは観光案内からレンタサイクルの貸し出し、切手販売、移住・定住サポートなどを行っている。左手が授乳室や多機能トイレを備えた施設内のトイレ

株式会社ましこカンパニーは、益子町が8割、残りを地元の金融機関やJAなどが出資して2015年11月にできた第3セクターである。代表取締役は現町長の大塚朋之氏が務める。運営主体を第3セクターにした理由に、早期からの人材育成と、益子町が意図する情報発信の仕方、こだわりを持った品選び、が挙げられた。
実現したひとつに『総合案内・ましこのコンシェルジュ』があり、宿泊施設や飲食店、観光ボランティアガイド、益子焼の直売店など、さまざまな情報を求めて人が立ち寄る。
「施設内の作家棚で気に入った作家さんを見つけていただき、町中の工房・専門店をご案内しています。せっかくなので町中を回遊していただきたいですからね。町長がよく言うのは、5分も行けば茨城県なので、益子は栃木県の玄関口としての役割もある。この道の駅が発信拠点となって、益子町、ひいては栃木県全体に人が流れて行って欲しい、と。コンシェルジュをつくってわかったことは、予想以上に観光案内の需要があるということです」(神田支配人)
コンシェルジュには移住相談員もいて、積極的に移住者を受け入れる体制を整えているという。玄関口としてのさまざまな役割を引き受けている。

「ましこのコンシェルジュ」の向かいにある作家棚には益子焼の作家150人のカップが展示されている。作家は400人ほどいるので、時々棚の入れ替えを行っているとのこと。前のテーブルでは企画展にちなんで「えほんの缶バッジづくり」が行われていた