「みんなの家」の“それから”−伊東 豊雄氏が進める復興支援プロジェクト『みんなの家』×LIXIL Vol.4

パーティーから教室まで−「みんなの家」で生まれる出会い

2012年6月末にオープンした「釜石市商店街 みんなの家・かだって」は、すっかり「みんな」の集まる場所になり、様々なイベントで活用されているようです。

オープニングセレモニーでの住民代表者挨拶では、『何かをしたいと思ったときに集まれる「場所」』がまだまだ不足している現状があると語られました。そのような中で、この「みんなの家・かだって」は、地域住民の方々の希望の場所となり、そして、復興の拠点となって、ちょっと立ち寄ったり、新しい出会いがあったり、再会があったり、小物作りの教室や太鼓のイベントが開催されたりと、いろいろな使われ方によって、空間が生かされています。

(左)「つるし飾り」教室が開催され、ここで久しぶりの再会を果たした人も(中央)夏ならではの「ビアパーティー」の一コマ。バーベキューの準備ではLIXILのキッチンも大活躍(右)桜舞(おうぶ)太鼓写真展での、迫力の太鼓演奏は入口前オープンスペースで

何気ない空間が織り成す「日常」

瓦礫は整理されたものの、街の復興にはしばらくの時間を要します。その復興へと向かう日常の中で、地域住民の人たちの生活に「みんなの家・かだって」が少しずつ溶け込んでいる様子が伺える一コマもあります。
何気ない空間がそこにあることで、新たな出会いが生まれ、語らい、笑いあいながら、少しずつ未来へと向かっていくようなやさしい気持ちになります。「みんなの家」は、多くの「みんな」に開かれた場所として、そこに存在していることが感じられました。

(左)大きくて見やすいと評判のバスの時刻表。入口前のオープンスペースもしっかり活用中(中央)バスを待ちながら「みんなの家・かだって」を訪れる人との出会いもあります(右)「コーヒー・お茶っこ ご自由にどうぞ」ちょっと寄ってみようかな、という気分を誘います

「釜石市商店街 みんなの家・かだって」について

釜石市商店街「みんなの家・かだって」

建物名称:釜石市商店街「みんなの家・かだって」
所在地:岩手県釜石市只越町1-3-2

震災復興を支援する「帰心の会」が進めている活動で、ここ釜石市商店街「みんなの家」は、仙台市宮城野区(伊東豊雄氏ら設計)、釜石市平田(山本理顕氏設計)に続き、3カ所目となる。

運営主体はNPO法人「@リアスサポートセンター」で、東日本大震災で被災した住民の方々が生活や地域の復興を話し合う拠点として、また様々なイベントの場としても活用されている。
LIXILでは「釜石市商店街 みんなの家・かだって」を商品を通してサポート。

  • 「みんなの家」とは
    「帰心の会」が進めているプロジェクト。被災者の方々が憩い、復興について語り合う拠点の場となることを目指している。2011年10月に宮城県仙台市宮城野区、2012年5月に岩手県釜石市平田地区に完成。2012年6月には、釜石市商店街に「みんなの家・かだって」が完成。
    現在は、岩手県陸前高田市、宮城県東松島市などでも計画が進んでいる。
  • 「帰心の会」とは
    東日本大震災からの復興に向けて建築家ができることを考え、実行に移す為に結成された。伊東豊雄氏、山本理顕氏、内藤廣氏、隈研吾氏、妹島和世氏の5人から成る。

※ この号に掲載されている写真は、かまいしまるごと情報WEB Cadatte(かだって)<みんなの家・かだって>ブログより引用しています

大切に“使いこなされている”仙台市宮城野区「みんなの家」

昨年10月に竣工した宮城県仙台市宮城野区の仮設住宅内にある「みんなの家」。落成式から7ヶ月が経過した5月末のある日、宮城野区の「みんなの家」に訪れました。
入口に近づいていくと、花壇にはたくさん花が植えられて、緑が青々と茂っていました。室内に入ると、大きなテーブルの上に「みんなの家」が掲載された雑誌が並べて置かれていたり、新しい棚ができていたり、住民の方々がこの空間を使いこなしながら、集っている様子が伺えました。

この写真は竣工当時の様子

館長の平山さんは、「そこにある棚は、熊本県から提供してもらった、この家に使われている木材の残りを使って、家のイメージを壊さないように作ったんですよ」とにこやかに話してくださいました。

住民の瀬戸さんは、「正月には、玄関に正月飾りをかざってお祝いをしたり、春には家の前で桜をみながら花見もしたんです。今度の金曜日にみんなで草をかって、花壇のチューリップもユリに植え替えするんですよ」とボランティアの方から送られてきた、植物を大切に育てられている様子を話してくださいました。

(左)館長の平山さん。落成式の写真パネルをみながら、いろいろな話をしてくださいました(中央)次に植えるユリの花の話を嬉しそうにしてくださった瀬戸さん(右)軒下には、みなさんで作ったというたくさんの薪が積まれていました

「釜石市商店街 みんなの家」とLIXILのつながり

仙台市宮城野区「みんなの家」(2011年10月竣工)と伊東氏

震災後、釜石市復興プロジェクト会議のアドバイザーとして任命された伊東氏によって、岩手県釜石市の商店街の一角に、新たな希望の場所となる「みんなの家」が誕生。このプロジェクトは、仙台市宮城野区「みんなの家」に続く、第2弾のプロジェクトとしてスタートしました。
LIXILでは、「私たちは、優れた製品とサービスを通じて、世界中の人びとの豊かで快適な住生活の未来に貢献する」という企業理念のもと、この「みんなの家」の主旨に賛同し、この「釜石市商店街 みんなの家」づくりをサポートしてきました。

<関連リンク>
特定非営利法人これからの建築を考える:
http://www.itoschool.or.jp/
かまいしまるごと情報WEB Cadatte(かだって)<みんなの家・かだって>:
http://cadatte-kamaishi.com/?cat=186

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