しかしながら、時の経過による老朽化はどの建築も同様で、「聖フランチェスコ教会」も例外ではなかった。完成後すでに45年以上経っているこの建築でも外装タイルの傷みは激しく、長年、修復の必要性が訴えられていた。教会正面と右翼棟はすでに修復が終わっていたが、ミラノ・カトリック大学で学ぶ女子学生約100人の寮である左翼棟は修復の目処が立たずに、タイルの剥離や汚れがそのままになっていた。
そんな折、3年ほど前からジオ・ポンティ設計の南イタリア、ソレントのホテル「パルコ・デイ・プリンチピ」のブルーのタイルの復元研究を手がけていたINAXに相談が持ちかけられ、INAXライブミュージアムものづくり工房が窓口となり、タイル復原の計画がスタートした。約1年間の試作期間をかけて、オリジナルデザインを忠実に再現した約9万ピースのタイルが常滑のINAXで生産され、2008年6月に名古屋港を出港。7月〜8月に工事が行われ、1,000m2の外壁がきれいに修復され、9月に竣工を迎えた。 |
|
|
「聖フランチェスコ教会」内陣 洗礼盤、家具、照明器具などもジオ・ポンティのデザイン |
|