日本建築学会教育賞を受賞!「人が活きるキャンパス」を目指して 奈良学園中学校・高等学校スクールプロジェクト |
2010年2月、奈良県大和郡市に位置する自然豊かな環境の下、奈良学園中学校・高等学校のキャンパスの建て替えが完成し、新たなる姿をお披露目しました。
生徒数1,200人を誇る、県下有数の進学校である本校の建て替えにあたっては、「スクールプロジェクト」と題した生徒参加型プロジェクトが導入されています。計画から竣工まで約1,000日を有したプロジェクトには、学校の主役である生徒たちの思いが取り込まれているのです。
本館正面外観より
■DATA
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設計: |
鹿島設計・福本設計 |
施工: |
鹿島建設 |
所在地: |
奈良県大和郡山市山田町430 |
竣工: |
2010年2月 |
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■ご採用商品
外壁|タイル:古陶洛 FC-2S/特別注文色、テラコッタルーバー:TL-315×150-2770/特別注文色||エントランス|床・大階段タイル:新苑路 Nエンジ-100/3、生徒手づくりのスクラッチタイル:古陶洛 FC-2S/ハンドメイドタイル、生徒手書きの定礎:定礎石 テラコッタタイル/特別注文色
職員室外側の特注ルーバータイル |
本館正面エントランスと階段 |
生徒手作りのスクラッチタイル |
生徒たちによる張り込み作業の様子 |
校舎建て替えは、仮設校舎は使わずに行われました。そのような厳しい条件下にあり、山々に囲まれた豊かな自然を極力残すために、造成範囲を最小にして切り土・盛り土が最もバランスのとれる配置計画、断面計画としました。
造成法としては、生態系保全や教育的な観点から既存樹木の全数調査や表土の保存を行い、造成以前と全く同じ里山の再生を試みました。また、日常的に室内から豊かな自然環境が感じられるように、校舎の開口部をできるだけ大きく取り、光と風、外部とのつながりに配慮しました。
本敷地には、風致地区による高さ制限10mがあります。山の造成を極力減らすため、建築面積が小さくなるように3層構成を選択して、PC床板や照明ラックを採用、建築・構造・設備のつくり込みを行うことで、階高3,200mmで天井高(直天)2,950mmの低階高スクールが実現できたのです。
学校建築は、空間の在り方が非常に重要だと考えています。教室以外の場所も、単なる移動手段としてだけではなく、生徒たちの居場所となる空間になることを目指しました。中庭や屋上庭園、吹抜けによる上下階のつながり、廊下にはベンチやホワイトボード、水飲み場――などを生徒たちの動線に合わせて設置することで、行く先々で新たな出会いが生み出せる工夫を心がけました。それらの空間を演出する仕上げは、木質系を中心に、風合いのあるスクラッチタイルと打放しコンクリートで構成し、素材感と手づくり感を大切に、すっきりと温かみがある空間を目指しました。また大階段や空中ブリッジなど、卒業後も生徒たちの記憶に残るようなシンボル的な存在にも配慮しています。
「スクールプロジェクト」によって生徒たちの思いを存分に取り込んだ新校舎が、自由闊達なコミュニケーションを創出し、エネルギーあふれる「人が活きるキャンパス」になることを願っています。
NGプラザ中庭の風景 |
中庭を上より望む |
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中学校、水飲み場 |
木質素材の1階廊下 |
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水飲み場を外部より望む |
広い開口を設けた階段部 |
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廊下より階段を望む |
生徒たちのアイデアから生まれた職員室 |
次ページでは、今回のスクールプロジェクトについてご紹介します。
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