地域の思いが込められた新生・鳥の海公園

(宮城県亘理郡亘理町)

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避難丘を備えた新しいレクリエーション拠点

鳥の海公園鳥の海公園。手前のサッカー場からTP9mの避難丘を望む。奥の津波緩衝丘の向こう側には荒浜海水浴場がある

鳥の海公園は、元々、1976年に建設された総合運動場で、陸上競技場、サッカー場、野球場や遊具施設などが備わっていた。年間約1万6000人が利用し、スポーツ交流の場として長く親しまれていたが、東日本大震災の津波で全ての施設が流失してしまった。亘理町では、荒浜地区の新たなレクリエーション拠点となる都市公園として、現地から北西の内陸に約500m移転させ、復旧することとした。
新たな公園の敷地面積は、震災前の約2.7倍に当たる27.5ヘクタール。国の災害復旧事業費や復興交付金などにより総事業費29億円をかけて整備されている。陸上競技場、サッカー場、野球場はもちろんのこと、避難丘を備えた防災公園(名称:荒浜防災公園)としての機能を持ち合わせているのも以前にはない特徴の一つ。芝で覆われたこんもりとした丘は、鳥の海公園のデザインの一部にも見えるが、津波など災害の緊急時一時避難場所としての役割を果たす。
避難丘は、東日本大震災の津波被災地などで計画された築山で、亘理町には鳥の海公園を含め4カ所に整備されている。高さは、津波シミュレーション上で波が被らないTP(海抜)9m。頂上は、100人程が避難できるスペースに、防災四阿と防災ベンチが設けられている。防災ベンチの中には、幕と使い捨ての紙トイレが収納されていて、幕を防災四阿の鴨居のフックにかけると四方を囲むテントとなり、風や雨を防ぐことができる。
避難丘には、対面で設置した2カ所の階段とスロープで登る。スロープは、車椅子での避難を配慮して、道幅が広く緩やかな勾配になっている。階段の手すりは、スチール製ではなく錆びにくいアルミ製で、ビームに木目調のシートを貼り付けたラッピング形材を採用。天然木の風合いが、利用者に見た目や触感の優しい印象を与え、また、公園の景観と調和し、落ち着いた雰囲気を演出している。
公園内には、亘理町内から移設された慰霊碑「鎮魂の杜」もあり、避難丘と共に、震災語り部の会・ワッタリによるガイドコースの一つになっている。今後は、隣接するエリアに芝生の多目的広場が整備される予定で、まちのレクリエーション拠点としての機能をさらに充実させていく。

TP9mの避難丘には手すりのついた階段TP9mの避難丘には手すりのついた階段を2カ所に設置
鎮魂の杜手前の慰霊碑が鎮魂の杜。奥は避難丘
避難丘をスロープがグルっとめぐる避難丘をスロープがグルっとめぐる
防災四阿と防災ベンチ防災四阿と防災ベンチ
鳥の海公園に整備された荒浜防災公園鳥の海公園に整備された荒浜防災公園
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