独立・起業の心構え1

中小企業診断士 市岡直司(株式会社市岡経営支援事務所)

独立・起業した人のうち10年存続できる確率はご存じですか?

中小企業庁が発行している中小企業白書によると、以下のように言われています。

  • 起業後1年経過後の生存率は  約73%
  • 起業後5年経過後の生存率は  約42%
  • 起業後10年経過後の生存率は 約26%

インターネット上にもさまざまな数字があり、もう少し悪い数字(10年後の生存率6%)も存在します。これから起業を志す人にとってはかなり衝撃的な数字かと思います。

最近は女性や定年後のサラリーマンの起業も多く、国や自治体も多くの支援策を用意しています。私は経営コンサルタント/中小企業診断士として、これまで商工会議所主催の創業塾や創業スクールで多くの創業間もない起業家、起業予備軍の方々と接してきました。
その経験からすると、概ねこんな感じかなという実感を持っています。ただし、真剣に独立・起業を果たした方々においては、実態はもう少し高い生存率なのではとも感じます。

現実には、すべての起業した中小・零細企業も個人事業主も等しく市場競争に晒されます。その中で競争に勝ち抜き、存続企業として生き残ることは容易ではありません。特に起業後、最初の3?5年生き残ることができるかどうかはとても大事になります。この期間生き残ることができた企業の生存率は高くなるからです。

起業希望者数は減少しているが…

また同じく中小企業白書によると、起業希望者は1997年から減少傾向にあるものの、実際に起業に至る方はほぼ横ばいであり、毎年30万人程度の起業家が一貫して誕生していることが分かります。(図1参照)

私の経験上も、近年は副業として事業をされる方や真剣に起業を志す方は増えているという実感を持っています。

図1:起業の担い手の推移

(※中小企業白書2017より抜粋)

起業は難しいことなのか?

近年、起業や副業は以前と比べると一般的になってきました。国や自治体単位で創業スクールや起業塾、創業支援を行う会社が主催する創業イベントも以前に比べると格段に増えています。起業は身近な出来事として社会に認識されていると思います。

実際、起業すること事体は難しいことではありません。

起業は特別なものではなく、人生の選択肢のひとつとして考えた方が良いと思います。特別なものであると思うとそれだけいろいろな失敗や挫折につながる可能性が高くなります。

ただし、無計画に安易な起業をして数年で潰れてしまったら本末転倒です。起業した以上、お客様に認められ、社会に貢献しながら企業として存続していかなくては意味がありません。

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公開日:2018年09月28日