中小企業が活用できる補助金2
~今、使いやすい補助金は~
中小企業診断士 市岡直司(株式会社市岡経営支援事務所)
先回は、「そもそも補助金とは何か?」をお伝えしました。
一言でいうと、「国や自治体が推進している事業(対策やアクションを含む)に対して、実施のサポートのために給付するお金」となります。そのため、現在、国や自治体がどんな事を推進しているか(中小企業に何をやらせたいのか?)を知ることも重要な手がかりとなります。
今回は現在、国が中小企業に推進しているアクションである生産性向上(業務効率化)と販路開拓に関する比較的使いやすい補助金を2つご紹介します。
まず1つ目が
①小規模事業者持続化補助金
です。
こちらの補助金は、中小企業の中でも特に小規模事業者(概ね従業員5名以下)に対して生産性向上(業務効率化)と販路開拓を推進してもらうことが目的となっています。
主な特徴は以下の通りです。
- ほとんどの業種の小規模事業者が対象(一部例外あり、医師や特殊法人など)
- 補助対象経費の2/3以内、補助上限額50万円
- 生産性向上と販路開拓に資する取組みに対する経費が対象
- 申請にあたっては、地域の商工会議所へ「事業支援計画書」の交付を依頼する必要あり
小規模事業者持続化補助金は、認められる経費が生産性向上と販路開拓に取り組むものという規程だけなので、幅広く利用可能です。例えば
- 新たな販促用チラシやパンフレットの作成・送付
- 新たなホームページの製作
- ネット販売システムの構築
- 国内外の展示会、見本市への出展
- 店舗改装(小売店の陳列レイアウト改良、飲食店の店舗改修を含む)
- 看板の改装、駐車スペースの整備
- トイレや休憩室、イートインコーナーの改修
- 労務管理システムのソフトウェアを購入
などが利用事例として挙げられます。経営計画(申請書)に基づいて実施する販路開拓等に関連する経費に対し、原則50万円を上限に補助金が支給されますので、利用範囲も広く使いやすい補助金です。
販路開拓等に取り組むという理由があれば、店舗におけるトイレの改修や断熱リフォームなどの経費も対象となります。そのため、地域に根差した小売店や飲食業、宿泊業などの業種で利用されることも多いです。
近年、人気もあり採択率が低くなっているため、早めの準備(申請書の作成)がポイントとなります。
2つ目のおすすめ補助金は
②IT導入補助金
です。
IT導入補助金の制度の目的も、中小企業の生産性向上(業務効率化)です。中小企業・小規模事業者の課題やニーズに合ったITツール(ソフトウエア、サービス等)を導入する経費の一部を補助します。
主な特徴は以下の通りです。
- 中小企業・小規模事業者あり、対象となる業種も広い(例外あり)。
- IT導入支援事業者(ITベンダー)が登録するITツールを導入する
- 補助率1/2以内、補助上限額50万円
→2019年実施分については補助上限額450万円となる見込み - IT導入支援事業者(ITベンダー)がITツール選定から補助金の交付申請、導入後のアフターサービスまでを行う
IT導入補助金もITツール(ソフトウエア、サービス等)を通じて生産性向上(業務効率化)を行う事業の経費を補助してもらえます。この補助金は2019年補助限度額が450万円(予定)に増額される可能性が高く、人気が高まると思われます。
他の補助金と違い、ITツール(ソフトウェア)を購入するITベンダーが代理で交付申請してもらえるため申請は比較的簡単に行えます。ただし、ITベンダーが登録した、ITツール(ソフトウェア)でなければ補助対象になりませんので注意が必要です。
以上、今使いやすい2つの補助金をご紹介しました。
自社で補助金にチャレンジすることはもちろん、お客様に補助金を利用してもらい、自社の商品・サービスを購入してもらえるよう情報提供することも考えてみてはいかがでしょうか?
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公開日:2019年02月05日