2021年に向けた省エネ住宅づくり連載コラム(第15回)

省エネ性能の説明義務制度のポイントを理解しよう!(その1)
~まるわかり解説と建築士の対応方法~

久保田博之 (住宅性能設計コンサルタント・一級建築士、株式会社プレスト建築研究所 代表取締役)

世界で地球温暖化対策は急務の課題となっており、日本は2030年までに各産業で最終エネルギー消費の削減目標が掲げられており、新築住宅は6.2%の削減が必要となっています。しかし、300m²以下の新築住宅の省エネ基準適合率は62%と高くありません。

そこで、300m²以下の小規模建築物を対象に、新たに「説明義務制度」が創設されました。これは、建築士から建築主に省エネ基準の適否を説明することで、建築主に自ら使用する建築物の省エネ性能を高めようという気持ちをもってもらうのがこの制度の狙いとなっており、2021年4月1日から説明義務制度がスタートします。

さて、その説明義務制度ですが、国土交通省がオンライン講座を9月1日に開設しており、いつでも学習できる環境となっています。また、講座を視聴するためのテキストは無料ダウンロードまたは、取り寄せることもできます。

しかし、オンライン講座はたくさんあり、当コラムの対象となっている「小規模(300m²未満)」かつ「住宅」に絞り込んでも、視聴すべき動画(必須講座)は9個もあります。1つの動画は20分程度から1時間程度まであるので、いきなり全てを視聴するのは大変です。

国土交通省オンライン講座のメニュー画面

国土交通省オンライン講座のメニュー画面
(赤い帯の項目が「小規模(300m²未満)」かつ「住宅」での必須講座)

そこで、細かい説明はオンライン講座に委ねることにして、当コラムではポイントとなる内容をQ&A方式を用いてカンタンにまとめました。今回は説明義務制度のポイントについて、次回以降はモデル住宅法や設計施工のポイントについて説明します。

  • Q説明義務制度とは、誰が何を誰にどのように説明するのですか?

    A建築士が省エネ基準への適否を建築主(施主)に書面で説明します。
    省エネ基準には「外皮性能基準」と「一次エネルギー消費量基準」の2つが含まれます。合わせて、省エネの必要性や効果についても情報提供することが望まれます。

  • Qなぜ説明義務が必要になるのですか?

    A建築主の省エネに対する理解を促すとともに、自らが居住する住宅の省エネ性能を高めようという気持ちを持ってもらうためです。
    そのため、省エネ基準の適否だけではなく、省エネの必要性や効果について情報提供を行うことも重要です。

  • Q説明義務が必要になる建築物はどのような建物ですか?

    A床面積の合計が10m²超300m²未満の建築物です。住宅のほか、非住宅建築物と複合建築物、さらに10m²超の増改築も対象です。
    ただし、居室を有しない建築物、畜舎や自動車車庫など空調設備を設ける必要のない建築物、仮設建築物に説明義務は必要ありません。

  • Q床面積の合計が300m²以上の建築物はどうするのですか?

    A省エネ性能の届出義務制度や適合義務制度の対象になります。ここではこれらについての説明は省略します。

  • Q建売の戸建てやマンションも説明が必要ですか?

    A必要ありません。説明が必要になるのは、建築士に対して設計を委託する場合です。

  • Qいつから説明が必要になるのですか?

    A2021年4月1日以降に設計業務の委託を受けた建築物が対象となります。

    説明義務対象・対象外
  • Q説明を行わないと確認申請が下りないのですか?

    Aそのようなことはありません。確認申請と説明義務制度は連動していません。

  • Q説明を行わないと罰則はあるのですか?

    A法令違反になりますが罰則はありません。
    なお、説明に用いた書面の写しは建築士事務所の保存図書(建築士法)になるため、15年間保存が必要になります。保存していない場合は建築士法に基づく処分の対象になる可能性があります。

  • Q建築主に説明を行うタイミングはいつですか?

    A特に決まりはありませんが、説明後に建築主から設計変更がある場合を想定し、工事着工までに余裕をもって行うのがよいでしょう。

  • Q「説明をしない」ことはできるのですか?

    A建築主が「省エネ性能の評価や説明は不要である」との意思を表明すれば、説明不要です。つまり、説明不要を判断するのは建築主です。
    その場合、建築主は説明不要であることを「意思表明書面(下記はそのイメージ)」として作成し、建築士に提出します。意思表明書は建築士事務所の保存図書(15年間保存)になります。

    建築士からの評価及び説明を希望しない場合には、以下についてご記入下さい。
  • Q説明する場合の書式(書面)は決まっているのですか?

    A書面の参考様式が公開されています。以下が参考様式でA4版1枚です。

  • Q省エネ基準に適合させるとコストアップになると思うのですが

    A主に以下のようなコストアップ要因が考えられます。これらは建築主に予め情報提供することが重要です。

    • 省エネ性能の計算費用
    • 省エネ性能向上のための材工の費用
    • 省エネ性能を維持するためのメンテナンス等の費用
  • Q省エネ基準に適合していないとダメですか?

    A説明義務制度は省エネ基準の“適否”を建築主に説明する制度なので、省エネ基準に不適合でも構いません。
    ただし、不適合の場合は、「省エネ基準に適合するための措置」について、説明書に記載が必要になります。以下は、省エネ基準に不適合になった場合の説明書の記載例です。

    建築物に関する事項

    ただし、2021年4月1日以降、建築主には、省エネ基準に適合する努力義務が課せられるので、不適合の場合は適合するように建築主に検討していただくことも大切です。

    小規模建築物(300m²未満)の2021年4月1日前後の扱いの違い

    小規模建築物(300m²未満)の2021年4月1日前後の扱いの違い

  • Q建築士の代わりに営業担当が説明しても良いですか?

    Aダメです。説明できるのは設計の委託を受けた建築士だけです。

  • QWeb会議システム等のオンラインで説明することはできますか?

    Aできます。以下の条件を守ってください。

    • 建築士と建築主双方の映像が視認でき、かつ、音声が十分に聞き取れる環境であること。
    • 説明書面を、建築主にあらかじめ郵送しておくこと。
    • 建築士は、画面上で建築主本人であることを確認すること。
    • 建築士は、画面上で「建築士免許証明書等」を提示すること。
  • Qリフォームは説明義務対象になりますか?

    A対象になりません。
    ただし、リフォームに伴い増改築を行う場合は、工事の規模が10m²超300m²未満であれば対象になります。その場合には既存部分を含めた建築物全体について、省エネ基準への適否の評価が必要となります。

  • Q省エネ住宅の必要性や効果を建築主にうまく伝えられません。

    A以下のパンフレットを使うことをお勧めします。(画像をクリックすると参照出来ます)

いかがでしたでしょうか?説明義務制度に対応するためには、省エネ計算が不可欠であることをご理解頂けたと思います。ぜひ、省エネ計算がカンタンに出来る「LIXIL省エネ住宅シミュレーション」をご利用ください。なお、説明義務制度の内容については、来年4月までに内容が変わる可能性もありますので、国土交通省のHPで最新の情報を入手するようにしてください。

久保田 博之

コラム執筆者紹介

久保田 博之

株式会社プレスト建築研究所 代表取締役 一級建築士(構造設計一級建築士)
木造住宅の温熱環境・構造に関わる設計コンサルタントや一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会等の団体によるセミナー講師を歴任する住宅性能のスペシャリスト。

  1. [出典]
    ※1 一般社団法人 日本サステナブル建築協会発行
    ※2 一般社団法人 住宅団体生産連合会発行
    ※3 一般財団法人 ベターリビング発行
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2021年4月以降に設計を委託された住宅について、物件ごとに省エネ計算を実施し、省エネ基準への適否や対応策をお施主さまに説明することが、建築士の義務になります。新登場の「LIXIL省エネ住宅シミュレーション」は、お施主さまへの説明義務を果たすための説明資料や提案資料、認定・優遇制度の申請時に必要な計算書も、WEB上でのカンタン操作でパッと自動作成できます。
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