今、住宅検討者は何を求めているのか? -建築主様の本音から読み解く、これからの住宅提案(調査編)-

LIXILでは、「新築・リフォームの検討〜実際に住んで気付いたポイントについての実態調査2026」と題して、2年以内に新築・リフォームした建築主様を対象に、費用計画、住宅性能、IoT設備、デザイン、住み始めてからの満足・不満など、多岐にわたる実態調査を行いました。結果全体を俯瞰して、建築主様の価値観やニーズの変化、どのような提案を求めているのかなどを読み解きます。

建築会社選びは「商品」から「安心」へ。親身な対応を求める声が増加

住宅を検討する建築主様は、どのようなことに悩んでいるのでしょうか。最も多かったのは、「費用計画(資金・返済・ローン選びなど)」でした(図1)。

昨今の住宅ローン金利の上昇や資材の高騰といった状況は、費用の悩みをこれまで以上に大きくしている可能性がありそうです。

また、関連する設問「補助金や優遇税制の活用意識」を見ると、補助金や優遇税制について、「自分のやりたい仕様が、たまたま補助金対象なら活用したい」「補助金がもらえる仕様をベースにプランを考えたい」という回答が、どちらも4割近くにのぼっています。「制度が複雑なので、プロから自分に合った活用法をリードしてほしい」、「補助金の有無より、デザインや設備へのこだわりを優先したい」といった回答も一定数ありました(図2)。

補助金や優遇税制の活用は、費用負担を軽減する重要な方法の一つであり、金利や物価の上昇が進めば、その意識はさらに高まるでしょう。今後は「使えたらお得」ではなく、費用計画の前提として重要になっていくかもしれません。

さらに、費用に次いで多かった悩みは「建築会社の選び方」でした。
関連する設問「建築会社を選定した決め手」を見ると、建築会社を選ぶ決め手として重視されるのは、「信頼性の高さ」「適正な価格設定」「丁寧な営業対応」という結果が出ました(図3)。また、最初に相談した建築会社での施工有無を調べると、新築では、最初に相談した建築会社で施工した建築主様は7割弱にとどまり、3割以上が別の建築会社を選んでいるという結果も出ています。

建築主様の信頼を獲得するためには、親身に対応し安心感を提供できる営業力が、今後ますます重要になるといえそうです。住宅性能の説明をする前に、まず建築主様の悩みに耳を傾け、不安を払しょくすることが大切です。「この建築会社なら安心して任せられる」と感じてくれれば、性能の説明も、より説得力を増すはずです。

図1 検討時の悩み事

図2 補助金や優遇税制の活用についての活用意識

図3 建築会社を選定した決め手

住宅性能は“数値”だけではなく、“暮らし”で伝える時代

建築主様は、住宅にどのような価値を求めているのでしょうか。

「家づくりで譲れないポイント」という設問の結果を見ると、「暮らしやすい間取り」はもちろんのこと、「省エネ・高気密高断熱性の高さ」「耐震性の高さ」への関心が高いことが分かります。また、建築会社に期待する提案として、新築では「数値(UA値や耐震等級)に基づいた客観的な安全性の説明」や「夏は涼しく冬は暖かいといった具体的な暮らしの快適さについての提案」、リフォームでは「性能向上にかかる費用と光熱費削減などによるメリットの比較」が最も多く挙げられました(図4・5)。

コロナ禍以降の在宅時間の長期化を背景に、暮らしを「より快適にしたい」と見直す傾向が強まっています。同時に、電気料金の上昇や省エネへの配慮、さらには自然災害の備えに対する関心も高まっています。省エネ・断熱・耐震などの住宅性能は、これら全てのニーズに応えることができることから、関心の高さは大いに頷けます。

営業の現場では、こうした建築主様のニーズをしっかり汲み取ることが求められます。住宅性能を訴求する際にも、数値の説明や比較に頼るのではなく、暮らしに与える価値やメリットを、「夏は涼しい」「冬は暖かい」「光熱費がこれだけ抑えられる」といった具体的なイメージで伝えることが重要といえるでしょう。

その他、「収納の多さ・広さ」「掃除・お手入れしやすい設備機器」「使い勝手の良い設備機器」へのこだわりが減少する一方で、「家事動線の良さ」を重視する傾向も見られます。

断捨離やミニマルな暮らしは最近のライフスタイルのトレンドであり、特に収納へのこだわり低下は、こうした価値観の変化が背景にあると考えられます。

かつては、「収納は広ければ広いほどよい」「設備の機能は多いほど便利」という考え方が一般的でした。それが今では、自分にとって本当に必要なものをしっかり見極めて選ぶ傾向が強まりつつあるといえそうです。

図4  家づくりで譲れないポイント

図5 今後、建築会社から提案されたい住宅性能

入居後の満足・後悔から見えてくる「提案」のヒント

実際に住み始めた建築主様は、どのような点に満足し、どのような点に不満を感じているのでしょうか。

満足した点として多かったのは、「暮らしやすい間取り」「省エネ・高気密高断熱性の高さ」「掃除・お手入れのしやすい設備機器」「家事動線の良さ」など、日々の暮らしやすさに直結する項目です(図6)。

一方、不満として多かったのは、「照明・コンセントの設置位置」「収納の使いづらさ」「遮音性の低さ」「窓の配置」など、配置計画や使い勝手に関する内容でした(図7)。

これらは図面だけではイメージしにくく、建築主様だけで判断することが難しい部分です。だからこそ、建築会社には経験に基づいた提案力が求められます。建築主様の要望をそのまま形にするだけではなく、暮らしを具体的にシミュレーションしながら、より快適な住まいへ導く提案が重要です。完成後の暮らしをイメージできる提案は、建築会社への信頼を高め、入居後の満足度向上にもつながるでしょう。

図6 住んでみて気付いた「よかった点」

図7 住んでみて気付いた「困りごと・不満な点」

これからは建築会社が「将来価値」まで提案する時代

建築主様は、将来の住まいにどのような価値を期待しているのでしょうか。

「家づくりに共感できる・取り入れたいと感じるもの」では、「長寿命・高耐久」が最も多く選ばれました。また、「価値が高いと感じるIoT機能」では、「スマホでの施錠確認、不在時の来客対応」など玄関・防犯に関する評価と、「帰宅前のエアコン起動、電気使用量の見える化」など空調・エネルギーに関する評価が高くなっています(図8・9)。

これらの結果から、建築主様が求めているのは単なる設備ではなく、今はもちろん、将来も快適に暮らし続けられる住まいであることが見えてきます。IoT設備についても、日々の暮らしを便利にするだけでなく、将来を見据えた住まいづくりを支える要素として期待されていると考えられます。

建築会社には、性能や設備を紹介するのはもちろん、「将来も快適に暮らし続けられる住まい」という視点からの提案も求められます。性能・デザイン・コストに加え、ライフステージの変化まで見据えた住まいづくりが、これからの差別化につながるでしょう。

図8 家づくりに「共感できる・取り入れたい」と感じるもの

図9 「価値が高い」と感じるIOT機能

[まとめ]建築主様が求めているのは、安心して暮らせる住まい

今回の調査から、建築主様は「安心して長く快適に暮らせる住まい」を求めていることが分かりました。建築会社には、性能や設備はもちろん、資金計画や補助金の活用、将来の暮らしまで見据えた伴走型の提案力が、これまで以上に重要になっています。

次回以降は、各テーマを掘り下げながら、建築会社の提案に生かせるヒントをお届けします。

<調査概要>

調査名 新築・リフォームの検討〜実際に住んで気付いたポイントについての実態調査2026
調査対象 新築やリフォームの決定に関与する25〜49歳の男女
【新築】:持ち家一戸建て(注文住宅)を2年以内に建築
【リフォーム】:持ち家の一戸建て・マンションで2年以内にリフォームを実施
(持ち家一戸建て(注文住宅)を2年以内に建築した人は【新築】に含める)
有効回答数 1200
調査期間 2026年2月27日(金)〜3月6日(金)
調査方法 インターネット調査
調査実施機関 LIXIL

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公開日:2026年08月26日