高性能アルミ窓で描くGXの未来図

LIXIL×Schueco、日独連携で日本の“窓”が進化する――ドイツから学ぶ「窓」の可能性

脱炭素社会の実現に向け、建築分野でも省エネ・環境配慮が求められるなか、その鍵を握る存在が「窓」だ。断熱性や快適性、エネルギー効率に優れているだけでなく、建物の資産価値にも影響し、住環境を大きく左右する重要な存在である。
こうした背景のもと、2025年4月、株式会社LIXILと環境先進国であるドイツの窓メーカーSchueco International KG(以下Schueco・ シューコー)は、建築における環境対応の新基準となる、建築物の生涯を通じたCO2排出量=ホールライフカーボンの削減に向け、戦略的パートナーシップを本格的に強化することを発表した。その狙いは、断熱性能だけでなく、環境配慮・快適性・資産性という複合的な価値を、地域ごとに最適化された窓製品を通じて日本市場に提供していくことにある。
本鼎談では、LIXIL執行役専務・吉田聡氏、Schueco CEOのアンドレアス・エンゲルハート氏、そして社会インフラ産業や建設産業への政策提言やサステナビリティを専門とする株式会社日本総合研究所理事・山田英司氏の3人が、窓の可能性について語り合った。

ドイツや日本で求められる、ホールライフカーボン削減に貢献する「窓」

「高性能な建物において、窓の役割はきわめて大きい」と語るエンゲルハート氏は、ドイツの建築事情をこう説明する。
「ドイツでは断熱性能が高い窓を使用することが当たり前です。アルミ窓はここ20年ほどかけて、他の素材(木や樹脂)と同等レベルになるまで、断熱性能が飛躍的に向上し、安価で普及している樹脂窓と比べて、より付加価値の高い窓として扱われています。アルミの良さとして大開口やスリムなフレームが実現できるなど意匠性にも優れているため広く普及しています。高性能アルミ窓はアルミの強度とエネルギー効率を両立するだけでなく、結露防止や防音といった快適性も向上させます。」
加えて、経済的なメリットも見逃せない。
「高性能な窓を導入することで、エネルギーコストは下がり、建物の資産価値も維持・向上できます。一方で、断熱性能の低い建物は価値が下がり、賃貸や売却にも不利になります。ヨーロッパでは、持続可能性に対する投資家からの期待も高まりつつあり、サステナブルでない建物は融資が受けられないという現実も存在します」(エンゲルハート氏)
吉田氏もこれに同意し、日本市場の現状を次のように整理する。
「国内においても、断熱性能が欧州基準に近い住宅が増え、オペレーショナルカーボンへの関心は高まっているものの、製品設計段階からの環境配慮やリサイクル素材の活用といった“エンボディドカーボン”を含む視点はまだ成熟していません。今後は“ホールライフカーボン”の考え方が必須になるでしょう」

吉田氏

サーキュラーエコノミーとアルミの優位性

ホールライフカーボン削減の鍵を握るのが、アルミという素材の特性だ。エンゲルハート氏はこう語る。
「アルミは半永久的にリサイクル可能で、しかも性能劣化がない。古い建物から回収したアルミを再利用すれば、資源循環型社会の実現に大きく貢献できます。これはまさに、クローズドループ型のサーキュラーエコノミーの実践です。環境負荷を下げ、同時に経済性も確保できる理想的な素材が、アルミなのです」
同氏はさらに、「ドイツをはじめ としたヨーロッパでは、“Cradle to Cradle(ゆりかごからゆりかごへ)”というサーキュラーエコノミーの基盤となる考え方が、広く受け入れられています。日本にもすでに多くの建物という“資源”があります。これをリノベーションにより活用し、素材を循環させていくことや、リサイクルするために分離・解体がしやすい環境配慮設計を行うことで、サーキュラーエコノミーに貢献できます」と語る。

ホールライフカーボンの構成イメージ
エンゲルハート氏

地域に最適なソリューションを日本へ

日本の窓市場は、欧州とは異なる文化や気候、そして規制が複雑に絡む領域だ。山田氏は「ドイツの知見を参考にしながらも、日本特有の気候や居住文化とのすり合わせが必要」と指摘する。
これに対し吉田氏は、「たしかに台風や地震といった日本特有のリスクは考慮すべきですが、欧州で評価されている製品や価値観は、日本でも受け入れられる下地が整いつつあります」と語る。
その上でLIXILは、環境負荷を低減する地域に最適な窓「GREENWINDOW」の普及・促進を進めている。
「北海道と沖縄では求められる性能が異なる。だからこそ、両社の技術と知見を組み合わせることで、建築物の用途を問わず、日本市場に真にふさわしい“解”を提供できると考えています」(吉田氏)

リノベ市場と非住宅分野が鍵

山田氏

山田氏は「新築着工数の減少と共に、リノベーション市場は今後拡大が期待される分野です。一般社団法人建築開口部協会の調査によると、窓の改装市場は2023年には672億円に達し、2033年には741億円まで伸長すると予想されます」と語る。
また、非住宅分野にも注目が集まっている。吉田氏は、これまで商業施設やオフィスビルで高断熱窓の採用が限定的だった背景を踏まえ、「今後はZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の推進や建築物省エネ法の改正により、非住宅分野でも高断熱窓の需要が大きく伸びる」と予測する。

窓から始まる、日本の建築アップデート

現在日本においてもホールライフカーボン削減に向けた制度検討が進められている。断熱性能一辺倒の議論から、循環性・快適性・資産性まで含めた“トータルバリュー”へと評価基準が移行しようとしている。
「高断熱・高性能な窓を通じて、建物の価値と暮らしの質を引き上げたい。Schuecoとの協業によって、“日本の窓の常識”を変え、ホールライフカーボン削減に大きく寄与できると確信しています」(吉田氏)
「私たちのパートナーシップにより提供できる価値は、単に環境負荷を減らすことだけではありません。人々の生活の質を高め、それを将来世代へつなげていくこと。両社がこれまで培った技術や知見の融合によって、その実現に向けて大きく一歩を踏み出します」(エンゲルハート氏)
“窓”という身近な存在から始まる、新しい建築の未来。その先にあるのは、より快適で、持続可能で、価値ある住環境の実現だ。

日本国内で販売開始した高性能アルミ窓「ASE60」

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公開日:2025年07月23日