TODA BUILDING×LIXIL


手仕事の技を体感できるアートな空間

中川康弘、一條真人、大嶽 伸(戸田建設)

──LIXILの現場から

【最新製造技術を駆使して、手仕事感のあるものづくりにチャレンジする】
平野 裕治(株式会社LIXIL)
株式会社LIXIL 営業本部 タイルチャネル営業部 タイルアカウントセールスグループ プロジェクト第1チーム 平野 裕治
株式会社LIXIL
営業本部 タイルチャネル営業部
タイルアカウントセールスグループ プロジェクト第1チーム
平野 裕治

思い返すとおよそ4年前、コロナ禍の真っ只中の2021年初めのことです。エスカレーター横の袖壁の仕上げを当初の石材から、手づくり感があり「ものづくり」を表現するための素材として焼き物を検討しているとお声掛けをいただいたのが始まりでした。
およそ120年前に京橋の地でものづくりをはじめられた戸田建設様。弊社も前身のINAX(伊奈製陶)が今年で設立100周年を迎え、何か不思議とご縁のようなものを感じています。

戸田建設様の旧本社ビル(旧TODA BUILDING)の外壁には、その全製作工程を手づくりにこだわった幻の建築用装飾タイルと言われる泰山製陶所製の泰山タイルが使われていました。
今回のプロジェクトは旧本社ビルへのオマージュをベースに、その外壁の泰山タイルを現代の最新の製造技術を駆使した「ものづくり」として、手づくり感を残しつつ現代風に表現するという難易度の高いものでした。
旧本社ビルの泰山タイルはマットな質感の緑色を中心とした緑色系から青色系という釉薬の窯変による色幅が非常に大きな施釉タイルでした。また表面のテクスチャーも不規則な凹凸や斑点があるなど、現代の製作技術でどこまで再現できるのか、正直不安しかないスタートでした。施釉をベースに酸化焼成、還元焼成など色のサンプルもチップサンプルで幾種類も作成し、工場にとってはリスクの高い不安定な釉薬へのチャレンジなどを経て、光沢のあるツルっとした手触り感の、それぞれに色幅のある7色を混合させたテラコッタ陶板をつくり上げました。
大きさ・形状については、当初、湿式製法で製作可能な最大形状を狙って1200×300mm程度の大形テラコッタの検討から始まりました。納まりや製作上の諸条件をいろいろ検討していく中、紆余曲折を経て、最終的にエスカレーター横の妻壁の間口への納まりを考慮した400×100mmの形状が最も適当という結論に達しました。また壁面として大壁が単調にならないよう変化を持たせるため、テラコッタ陶板の断面形状を4種類仕立てて、それらの組み合わせで壁面が構成されました。

LIXILの工場でのモックアップ確認作業
LIXILの工場でのモックアップ確認作業
LIXILの工場でのモックアップ確認作業。メンバーが一丸となりテラコッタ陶板の制作にチャレンジした(写真:LIXIL)

「従来のやり方にとらわれず、新しい要素を取り入れてチャレンジする」という命題もあり、環境配慮の観点から再生原料を極限まで混入させるということも試みました。原料の不純物の割合が多くなるため焼成後の形状安定性や釉薬の発色などに影響が出て、非常に困難でしたが、幾度もテストを重ねた結果、四面コバ施釉の6mm目地幅へのチャレンジもなんとかクリアすることができました。
「今までやったことのない何か新しいことができないか」を考える毎日でした。さまざまなチャレンジ要因をクリアするために、いくつもの難題を抱えて出口が見えず、製作工場の技術担当者と途方に暮れていた日々を思い出します。
それでも設計の方々の熱い想いが伝わってきて、毎度のことですが私としてもとにかく良い建築作品をつくりたいという一心で取り組んでまいりました。
おかげさまでTODA BUILDINGのエントランスロビーにおけるテラコッタ陶板は、建物全体のデザインコンセプトと調和し、伝統的な素材と現代的なデザインを見事に融合させました。空間全体に落ち着きと高級感をもたらし、訪れる人々にアートを感じさせ、温かさと安心感を提供する重要な要素になったと自負しています。

「これまでの100年の想い」と「これからの100年の想い」—、さまざまな関係者の方々の想いが込められた、京橋には欠かせない建築作品に携わることができて本当に光栄でした。ここに感謝申し上げます。

一條氏、中川氏、大嶽氏
テラコッタ陶板の裏面に“100年の想い”をそれぞれメッセージに込めて施工した。(左から)一條氏、中川氏、大嶽氏(写真:LIXIL)

TODA BUILDING データ

所在地 東京都中央区京橋1-7-1(住居表示)
構造 地上:コアウォール免震構造(鉄筋コンクリート造・鉄骨造) 地下:鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造
規模 地下3階・地上28階・塔屋1階
延床面積 約94,912m2(約28,710坪)
建築主 戸田建設株式会社
設計・監理 戸田建設株式会社 一級建築士事務所
施工 戸田建設株式会社
竣工 2024年9月30日
LIXIL使用商品
■1—6階 内装壁:テラコッタ陶板(特注)
FC-400X135TSA/PT2、FC-400X100TB/PT2、FC-400X135HSC/PT2、FC-400X100HD/PT2
■大型フィン付きオーダーメイドユニットカーテンウォール(フィンに換気装置を組込)
PRO-SE、E-SHAPE W
■トイレ:LEED対応商品
<一般トイレ>
クイックタンク式壁掛便器:C-P111PA※LEED対応仕様
シャワートイレPAシリーズ:CW-PA21L-NECK-TU
センサー一体形ストール小便器:U-A12A-TU
<その他>
ノセルカウンター(陶器仕様):L-S52SW1
はめ込み角形洗面器:L-2250
L型手すり:KF-M20R、KF-M20L
小便器手すり:KF-701AEJ
フック:FKF-80F
チェンジングボード:AC-CB-01

取材・編集/フォンテルノ
撮影/エスエス企画

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公開日:2025年02月26日