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「メゾン・エ・オブジェ & パリ・デコ・オフ 2020から読み解くインテリアのこれから」

安藤眞代 (インテリアデザイナー、studio Ma 代表)

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ピックアップ ブランド5選

安藤さんがセミナーでお話された中からさらに選りすぐった5ブランドを紹介します。

「エリティス( ÉLITIS)」

エリティス

Photo:Studio Ma

南アメリカからの影響を受けたナチュラルの印象が強いコレクションでした。自然色カラーのサンイエローを中心に、植物繊維(ラフィア)とベルベット、リネンなどの自然なカラーの多色ミックスによる色使いで、今年は昨年よりもぐっとナチュラル寄りになっていました。ラフィアの籠など、ディスプレイやテーマにも多くナチュラルな素材が取りあげられていました。ベルベットで織物を駆使したタイプやベルベットの上にプリントしたものなどもありました。シックでありながらカラフルという印象でした。

「マニュエルカノヴァス(MANUEL CANOVAS)」

マニュエルカノヴァス

Photo:Studio Ma

“色の魔術師”と称されるテキスタイルデザイナーであるマニュエルカノヴァスによって創設されたブランドです。90年の歴史があります。まさにパリのエスプリといえる存在です。会場はクラシックからマニッシュ、オリエンタル調まで様々なテイストに室内を演出されていました。訪問した際は、丁度プレゼンテーションをされており、デザイナーのマダムたちが話に聞き入っていました。

今年の新柄は大柄の植物のプリントでした。ベースは上の写真にあるようなローズにグリーンの植物柄でした。それに合わせた黄色系のグリーンのソファ、クッションにはくすみ感のあるピンクを合わせたトレンド感あるインテリアに仕上がっていました。

「アルデコ(ALDECO)」

アルデコ

Photo:Studio Ma

ポルトガルが本社のファブリックメーカーです。社長のお嬢様(ミラビリスさん:写真右上)がプレゼンされている時間に丁度、行くことができました。今年のテーマは「INVICTA(インヴィクタ)」 直訳すると、「不屈の」といった意味です。文明の発祥地、起源、生の表現の信念に強く立ち、時間と歴史の中でその場所を征服するというイメージのコレクションで、全体的にプリミティブな印象のファブリックが多く見られました。

上の写真にある活気に満ちた刺繍は、ポルトガルの民俗芸術と伝統的な衣装からインスピレーションを得ています。鳥、花、精巧な刺繍装飾を強調する色とモチーフの大胆さが特徴で、熱帯の葉、果物、動物を現代風にアレンジされていました。芸術的で素晴らしかったです。

また、トレンド素材であるブクブクとした質感のブークレ(100%ポリエステル)も取り上げられていました。下の写真の右にあるように非常に柔らかくあたたかい肌触りのウールのような質感です。ブークレは他のコレクションでもよく見かけたので、あらためてトレンド感を出せる素材だと思いました。

アルデコ

Photo:Studio Ma

「ピエールフレイ(Pierre Frey)」

ピエールフレイ

Photo:Studio Ma

今回ピエールフレイは昔の柄のリバイバルをテーマとして発表していました。関連して行われていた本社倉庫でのアーカイブツアー(会社で保管されている100年以上前の商品を人数限定で見学できるツアー)に参加することができました。そこには昔の素晴らしい商品や資料が眠っていました。マリーアントワネットの時代のものなど、歴史的に貴重な資料やファブリックを多く見ることができました。当時の生地を今回はどのようにリバイバルしたかという展示もありました。当時の書類も紹介されていました。1868年(ナポレオン三世時代頃)ものと思われる男性のベストや発注書と生地の仕様が書かれた資料も出てきました。室内のミニチュア模型で、床や壁をどういったインテリアにするかをシミュレーションできるものもありました。こういった歴史あるものがしっかりと保管されていて、それを生で見られたことは非常に感慨深く、強く印象に残ったツアーでした。

ピエールフレイ

Photo:Studio Ma

「K三(ケースリー)」

ケースリー

Photo:Studio Ma

今回もっとも印象深かったもののひとつが、デザイナー高田賢三氏がアーティステック・ディレクターを務める新しいブランド「K三」(ケイスリー)でした。彼が日本の伝統的な職人、製造業者とチームを立ち上げつくったカーペットの他に、ベッドリネンをはじめとするテキスタイルや家具、陶器などで構成されたコレクションでした。街中のアパートメントを展示会場として借り切って行われていました。

ケースリー

Photo:Studio Ma

中に入るととてもきれいで、賢三さんさすが、という感じでした。写真左は基本テーマのひとつMAIKOというブランド。京都の西陣織の職人技を駆使したカーペット、椅子張り、掛け軸、陶器という美しいコレクションでした。写真右2点は組み合わせの妙に老練した巧さが際立つSHOGUNというブランドです。色使いや柄に深みがありました。また、K三は展示会場が空間的にとてもきれいでした。いわゆる展示会場での展示という感じではなく、パリの街中にあるアパートメントという実際の住まいにコレクションが展示され、自然光を取り入れて商品が見えるので生地本来の美しさが映えて、とても良く見えていました。
(パリで元気なお姿を拝見した、高田賢三氏が新型コロナウィルス感染で10月初旬に亡くなられました。謹んでご冥福をお祈りいたします。)

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公開日:2020年10月28日

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