INAX FLOAT TOILET

浮遊感のあるトイレが似合う家。

設計:藤原徹平/ フジワラテッペイアーキテクツラボ

雑誌記事転載『Casa BRUTUS』2021年2月号 掲載

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CASE STUDYアマカスハウス ― 東京都─

設計:藤原徹平/フジワラテッペイアーキテクツラボ

暮らしの場、仕事場、友人が集うサロンでもある狭小住宅。
コンパクトだけど機能性に富んだ倉庫のような空間に、〈INAX〉の《フロート トイレ》が一役買っています。

アマカスハウス2階のリビングとキッチン。街路樹のように等間隔に立つ方杖柱が、柔らかな雰囲気を演出。柱にはスギ、方杖にはヒノキを使用。

倉庫のような空間で、暮らしの舞台をつくる喜び。

細長い箱型の建物が、住宅街で異彩を放っているのは、一見それが家らしくないからだろう。倉庫という設計コンセプトは、施主であるサウンドデザイナーの甘糟亮さんと、映画美術を手がける妻ユリさんのライフスタイルから発案。

「作業倉庫のような家は、新しい住宅のあり方。日々の暮らしも作業の連続といえますが、自分たちで場を整えていけるような建築とは何なのか、ということに焦点を当ててアプローチしました」と建築家の藤原徹平は語る。

まずこの住宅には、靴を脱ぐスペースや上がりかまちといった玄関がない。搬入口のような大扉をスライドすると現れる倉庫アトリエには、妻の仕事道具や過去の作品を収納したコンテナが積み重なっている。中央にある洗面台の奥は、夫の仕事場である音楽スタジオとバスルーム。2階には人を招くことが好きな夫妻の個性に寄り添ったサロンのようなリビングとキッチン、トイレがあり、3階は寝室。これらの空間を縫って林立する方杖柱ほうづえばしらが、全体を支えている構造だ。「倉庫ということで当初は鉄骨造をイメージしていましたが、木造に変えて結果的に正解でした。人が住むことで倉庫が有機的になっていく過程で、鉄骨造と木造では柔らかさが本質的に違うので」

浮遊感がある《フロート トイレ》浮遊感がある《フロート トイレ》。タンクなどがパネルに隠れているので、限られたスペースでも圧迫感がない。
エリア的に準耐火建築物にする必要があり、「“防火箱”からどうやって暮らしが滲み出すかが重要」と藤原。木のテラスはその象徴。

エリア的に準耐火建築物にする必要があり、「“防火箱”からどうやって暮らしが滲み出すかが重要」と藤原。木のテラスはその象徴。

妻の仕事道具が収納されている倉庫アトリエ

妻の仕事道具が収納されている倉庫アトリエ。正面にある洗面台の右奥がスタジオ、左奥がバスルーム。

仕事から遊びに変わって
住宅に“らしさ”がプラス。

建築家が仕事として関わったのは、“殻”としての住宅を設計して原型をつくるまで。内壁の塗装や床張り、バスルームに面した小さな庭に至ってはブロックから手づくりするなど、仕上げは施主と建築家、友人も巻き込み、共同作業という名の遊びを楽しんでいる。

「大工さんまで手伝ってくれて、技を見せつけられました(笑)。建築をやっていて幸せを感じるのは、そういう喜びがあふれるとき。暮らしの舞台をつくるアートプロジェクトみたいなノリなんです」と藤原。自然と人が集まる、施主の人柄によるところも大きいのだろう。夫の亮さんはこう語る。

「住んでいるのは僕たちですが、ちょっとした作業も多くの人が手伝ってくれるから、みんなで所有している感覚になれるんです」

各階をつなぐ、螺旋状の階段。手すりの柱には単管パイプを使用。
各階をつなぐ、螺旋状の階段。手すりの柱には単管パイプを使用。
階段部分から3階を見る。
階段部分から3階を見る。
1階、2階、3階、それぞれの階を見渡せる入口横の階段踊り場
1階、2階、3階、それぞれの階を見渡せる入口横の階段踊り場。夫妻の仕事場がある1階は、最も倉庫然とした空間。「玄関という形式をなくしたことで、住んでいる人と訪ねてきた人の境界が曖昧になる感じが、人の出入りが多い甘糟家に合っている」と藤原。

Amakasu House

●所在地/東京都 ●家族構成/夫婦 ●構造/木造 ●規模/地上3階 ●設計期間/2018年7月~2019年12月 ●施工期間/2020年2月~8月 ●敷地面積87.18㎡ ●建築面積39.71㎡ ●延床面積/88.82㎡

家具のように空間に馴染む
軽やかで画期的なトイレ。

倉庫に住むというコンセプトで、建築家が一番気がかりだったのがトイレ。倉庫特有のジメッとした重い雰囲気が出ないよう設置場所にもこだわったが、壁掛式で床から浮いているスタイルの《フロート トイレ》を採用したことで、懸念が解消された。

「トイレって本来は土に還るものですし、地面と繋がっているようなイメージがあるじゃないですか。しかも倉庫の場合、水回りがどうしても地面っぽくなってしまう。《フロート トイレ》は浮いているから乾いている感じがして、リビングの横にあっても家具みたいに馴染むんです。この軽やかさは画期的だと思います」

藤原が常々大事にしているのは、住む人の感性が表れる家であること。暮らしが始まってもなおさまざまな人が関わり、ものづくりが続く倉庫のような家には、早くも“らしさ”が生まれている。

フロート トイレ
https://www.lixil.co.jp/lineup/toiletroom/float-toilet/

藤原徹平藤原徹平 ふじわらてっぺい 建築家。1975年生まれ。〈フジワラテッペイアーキテクツラボ〉主宰。2012年より横浜国立大学大学院Y-GSA准教授。主な作品に〈等々力の二重円環〉〈代々木テラス〉〈稲村の森の家〉などがある。
http://www.fujiwalabo.com/

INTERVIEW

《フロート トイレ》を選んだ理由。

Q. トイレ空間でこだわったことは?

A. 一般的な倉庫のトイレは隅の方にひっそりあって、湿っぽいイメージじゃないですか。利便性のある場所で、なおかつ湿っぽさというか、地面から近い印象をなくすことを考えました。

Q. そのうえで《フロート トイレ》を選んだ理由を教えてください。

A. 最初は浮いているデザインに惹かれました。そして設置した状態で見て、決定的にいいなと思いました。これがもし従来の床置きのトイレだったら、リビングの床の先にトイレがあることが、やはり気になったかもしれません。家具みたいな佇まいなので、空間自体も家具らしさを意識しました。それによってトイレの中にいるというより、家具に囲まれているような印象を受けると思います。

Q. 水回りで大切にしたことは?

A. 倉庫のジメジメ感をいかに出さないようにするか。1階の洗面台を真ん中に持ってきたのもそのため。正真正銘の倉庫になってしまうか、美術室みたいな倉庫になるかでは大きな違いがあるので。

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雑誌記事転載
『Casa BRUTUS』2021年2月号 掲載
https://www.fujisan.co.jp/product/1217008/new/

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公開日:2021年02月24日

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