藝大生が創作した体内と自然の循環を感受するトイレ

都立上野恩賜公園において、芸術の香り高い公園を実現するため、国立大学法人東京藝術大学（以下、藝大）と協働して、園内に「芸術の散歩道」を設け、学生達の卒業・修了制作作品を展示しています。
この度、「芸術の散歩道」付近に設置しているトイレを、藝大の協力の下、このエリアの魅力向上のため、「上野トイレミュージアム」として改修しました。「上野トイレミュージアム」は、藝大の学生が工芸、絵画、デザインなど、それぞれの科の得意分野を活かして創作されたトイレで、その名称には上野に点在する多様な文化施設のひとつとなるように、という思いが込められています。

2019年8月に、学生の皆さんに愛知県常滑市のLIXILものづくり工房にお越しいただきました。工房でストックしている釉薬試験ピースから当初13種類の釉薬を選ばれ、そこから試作を行い、最終的には8種類の釉薬が採用されています。陶芸の勉強をされているだけあって、味わいがあり表情豊かな釉薬を多く選択されています。しかし、生産をするうえではやや難易度が高く、タイル1枚ずつに釉薬を筆でのせていくような手法も用いて生産をしています。第一期の形状から第二期の形状に変更された際には、タイル張りのパターンを何度も検討された結果、この形状に進化したのだと感じました。私たちにとっても学生の皆さんから刺激を受け、貴重な経験をさせていただきました。美しく施工された“うんちタイル”に、タイルの魅力を改めて感じています。

株式会社LIXIL
芦澤忠