日本の窓を、考える by LIXIL

デザインに寄り添えば、窓は劇的に進化する

佐藤伸一、宮本進一(LIXIL)

断熱性能とデザインが結び付き進化した「サーモス」

2010年発売のアルミと樹脂のハイブリッド窓「サーモス」は新たな基幹サッシとして開発された。住宅の断熱化を進めると同時に、窓のデザインを大きく飛躍させ、進化を続けている。「断熱性能に優れるサッシの開発ポイントは、ガラスとフレームからいかに熱を逃がさないかなんです」と宮本さん。
サーモスは熱損失を小さくするためにフレームの見付け寸法を小さくし、同時に複層ガラスを強力に保持する構造を開発した。フレームがスリム化し、ガラス面積が拡大。品種によってはフレームを室内に見せないことで、ほぼガラスの断熱性能だけになる。そこには、それまで別の商流にあったガラスを自社生産に踏み切ったことを受け、フレームとガラスの結合部の開発にかなり踏み込むことができたという背景があるそうだ。
次の展開を2人に訊ねると「デザインの進化に期待してください」という答えが返ってきた。
「今ある問題を解決することがデザイン。建築に携わる多くの人たちの顕在的問題に留まらず、潜在的ニーズまで汲み上げて解決していきたい」と語る佐藤さん。「クレセント錠やストッパーは50年経っても機能がむきだしのままのデザインで、基本的には変わっていません。でも、そこに別の新技術を入れ、必要な機能をカバーすることで、今までに発想してこなかったデザインが生まれます」と宮本さん。
サッシがより美しく、より機能的に進化する日も近そうだ。どんな驚きが待っているのか、大いに楽しみである。

デザインと断熱性能が進化したハイブリッド窓 サーモスX 2015年 

2010年発売の「サーモス」は、断熱性能の向上をフレームのスリム化、複層ガラスの面積の最大化につなげた。
15年の「サーモスX」では、複層ガラスに加え、トリプルガラス2タイプをラインナップ。次世代省エネルギー基準に対応し、ガラス種類の選択などによってさまざまな地域に適合する。また、枠の出幅などのフレーム仕様を統一。複層とトリプルの混用や、リフォームに対応できる。図内数値データは、2018年のもの。(※サーモスXは2022年5月に終息いたしました。後継品種はTWとなります)

トリプルガラス(クリプトンガス入り)トリプルガラス(クリプトンガス入り)
内外2枚をLow-Eガラスで構成したトリプルガラスを採用し、空気に比べ熱の伝わりを約60%抑えるクリプトンガスを封入。また、一部断熱材(※3)を入れ、樹脂窓同等の断熱性能を実現。〈熱貫流率1.11W/(?F・K)アルゴンガス入りもある〉
複層ガラス(アルゴンガス入り)複層ガラス(アルゴンガス入り)
室内側か室外側の1枚をLow-Eガラスで構成した複層ガラスを採用。空気に比べ熱の伝わりを約30%抑えるアルゴンガスを封入。
  1. ※1 縦すべり出し窓(グレモン)TF16513 複層ガラス(アルゴンガス入り)内Low-Eグリーン(3-16-3)JIS A 4710-2004による社内試験値
  2. ※2 縦すべり出し窓(グレモン)TF 16513 トリプルガラス(クリプトンガス入り) 内外 Low-Eグリーン(3-10-1.3-10-3) JIS A 2102-1 および JIS A 2102-2による計算結果
  3. ※3 断熱材の設定箇所・有無は品種毎、部材毎に異なる。
自然との一体感を感じるサーモス X自然との一体感を感じるサーモス X
サーモス Xは従来品の樹脂窓に比べ、フレームを50%スリム化。そのためガラス面積が約30%アップした。視界がすっきりと広がり、内と外が心地よくつながる窓辺がつくれる。
サーモスXを生産するLIXIL下妻工場サーモスXを生産するLIXIL下妻工場
LIXIL下妻工場は1973年、茨城県下妻市に設立されたトステムブランドの住宅用アルミサッシ主要生産工場。東京ドーム5個分の広大な敷地に立つ工場で、アルミ合金の鋳造、形材の押出し、表面処理、加工の各工程が行われ、サーモスXをはじめとするアルミサッシが全国へ発送されている。

まるで“透明な壁”のような大きな窓「LWスライディング」

まるで“透明な壁”のような大きな窓「LWスライディング」“枠無し”は設計者が特注対応で苦心するところ。「LWスライディング」は、断熱性や網戸、メンテナンス性などをクリアし、網戸が閉まっていても視覚的に全面開放、開閉ハンドルを枠に埋め込み、まるで窓が存在しないかのような、すっきりとした美しい窓辺がつくれる。
https://www.lixil.co.jp/lineup/window/lw/

取材・文/清水潤

日本の窓を、考える by LIXIL こちらでも発信しています

隈研吾が語る窓辺

動画隈研吾が語る窓辺─自然と人間とのあいだにあるもの

美しい庭園を背景に、日本家屋における開口部について話します。

京都の旧細川別邸にて、建築家・隈研吾さんとLIXIL会長・潮田洋一郎が対談。小川治兵衛作の庭からせせらぎの音が聞こえ、美しい景色や光を取り入れる「ごちそう」の窓は、日本人の心を魅了します。現代だからこそ、性能の高さとともに情緒的な快適さもある窓の可能性を考えていきたいと思います。

動画URL
https://www.youtube.com/watch?v=Onjd_67QO8w

LIXIL. SQUARE WEBサイト
「暖かさ」と「美しさ」を兼ね備えた“理想の窓”を求めて

https://www.lixil.co.jp/square/interview/voice_01/

LIXILのテクノロジー&デザイン WEBサイト
https://www.biz-lixil.com/column/technology_design/

LIXIL
https://www.lixil.co.jp/

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雑誌記事転載
『コンフォルト』2018 June No.162掲載
https://confortmag.net/archives/backnumber/no-162

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公開日:2018年06月30日