災害時だからこそいつも通り使えるトイレを。
「レジリエンストイレ」

災害時のトイレは、
水や食料の確保と同じく重要な課題。

2018年は特に災害の多い年でした。いざ災害が起きると、私たちも避難所で過ごすことになる場合があります。災害でライフラインは絶たれ、断水下ではトイレは喫緊の問題となります。水洗トイレは普段どおりに使えなくなり、トイレの汚れにより衛生環境は悪化します。劣悪な衛生環境下での感染症の心配や、トイレの使用を控えることによる脱水症やエコノミークラス症候群で、せっかく災害で助かった命も危険にさらされることになります。災害に対して国も国土強靭化基本法を制定し、災害時のトイレの大切さが認識されてきています。

避難所で問題となった施設・設備 トイレ74.7 備蓄倉庫等35.2 給水・浄水設備66.7 通信設備57.5 放送設備32.8 発電機等電力供給設備45.0 暖房設備70.3 避難者の避難スペース32.6

※「平成23年度東日本大震災における学校の対応等に関する調査研究報告書」(平成24年文部科学省)(http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1323511.htm)を基に作成

過去の震災から浮かび上がった
水洗トイレが抱える課題。

近年起こった震災の被災地を訪問し、トイレの問題を目の当たりにしました。また、被災地の方々にも話を伺い、そこから避難所でのトイレの課題が浮かび上がりました。これまでも用意されている災害用のトイレ(携帯トイレ、簡易トイレ、仮設トイレ、マンホールトイレなど)は、断水でも使えるため、避難所では重要な役目を果たしています。しかし、ゴミの保管や処理、使用方法のわかりづらさ、雨天や夜間利用時の不安、設置に時間がかかるなどの課題もあり、既存の災害時のトイレだけでは十分とは言えません。

災害時の水洗トイレの課題 平常時と同様に5~6リットル以上の洗浄水が必要。洗浄の際の飛沫や、水の運搬の際の水ぬれで衛生面での不安が生まれる。避難者自ら、人力で大量の水を施設内のトイレまで運搬しなくてはならない。洗浄の際に重いバケツを持ちあげなければならず、高齢者や子どもには特に負担。

洗浄水量、平常時5L、災害時1Lの水洗トイレ「レジリエンストイレ」

災害時でも老若男女、誰もがいつもと同じように安心して使える水洗トイレをつくりたい。その想いからLIXILは「レジリエンストイレ」を開発しました。その特長は、災害時に設置されるトイレではなく、建物内でいつも使っている常設のトイレであることです。いつも使っているトイレであれば、災害時でも平常時と同じようにスムーズに使えます。レジリエンストイレは普段は洗浄水量5Lの一般的なトイレと同じ使用方法。万一、災害で断水が起きた場合、1Lで洗浄できるトイレに切り替えられます。いつもの使い慣れたトイレであるため安心です。使い方がわからないということもありません。排泄物も下水道に流すので衛生的※1。障がい者用の広いトイレに設置いただければ、段差もなく、車いすでも使用可能です。
※1 震災により下水道が破断した際は流すことができません。

1L洗浄を実現する排水機構と、
下水道へ運ぶ配管設計。

わずか1Lの洗浄水量を実現するのは、「強制開閉弁機構」です。洗浄ハンドルと開閉弁をロッドでつなぎ、洗浄ハンドルで水を流すと同時に開閉弁が開き、排泄物を便器の外に排出します。便器も新設計し、便器奥の左右からの吐水で、便器内を1Lでもきれいに洗い流せるようにしています。しかし、通常の配管設計では洗浄水量1Lでは排泄物が下水道まで流れません。そこで、下水道へ運ぶまでの配管設計も合わせて検討しました。LIXILが考えたのは、「手動給水方式」と「汚水循環方式」。どちらも排水横主管内での排泄物の滞留を防ぎ、下水道まで運びます。開発の過程で1年半の実証実験も行いました。避難所となる学校、公民館などへレジリエンストイレを普及させ、万一の場合の避難者の環境の改善に少しでも寄与できることを期待しています。

レジリエンストイレの構造 平常時は5Lで洗浄します 断水時に1Lで洗浄します
手動給水方式

最上流側の便器・掃除流しなどから、1時間ごとにバケツ3杯分(27L程度)※2の洗浄水を流すことで排水横主管内に滞留した汚物を下水道まで搬送する方式です。
※2 トイレの使用回数は35回/時。バケツ1杯9Lの場合。

汚水循環方式

汚水循環により排水横主管内に滞留した汚物を下水道まで流す方式です。汚水が排水横主管内を循環し、汚物をフラッシング。オーバーフロー分は下水道に搬送されます。