最先端テクノロジーとローカルインダストリーが融合した
「HAERA」の空間デザイン

シミュレーションの果てに掴んだパネルのデザイン

NOIZ 近藤氏: どこに、どの形状のタイルを配置するのが最適か、安藤と常に相談しながら考え抜きました。タイルの総個数を含めた厳密なコントロールが必要不可欠だったため、最終的には3Dモデリング用のプログラムツールを導入し、グラデーションや螺旋状に上昇するラインが美しくつながるよう、納得がいくまで、それこそ泣きそうになるほどの大量のパースを描いてシミュレーションを重ねました。

NOIZ 安藤氏: スタディを何度も繰り返すうちに、「螺旋状に綺麗につながって見えるには、どんな形状のタイルをどこに配置すべきか」が、次第にロジックを超えて感覚として掴めるようになっていきました。あえて螺旋のルールから外れるイレギュラーなタイルを部分的に混ぜることで、単調さを排除するといった絶妙なさじ加減も、その過程で身につきましたね。

NOIZ事務所 シヲバラ
NOIZ事務所
HAERA1,2階の初期のパース
HAERA1,2階の初期のパース
2階の柱のタイル割り付け図面
写真上は、HAERA1,2階の初期のパース。下は2階の柱のタイル割り付け図面。タイル割が細かく記載されている(資料提供/株式会社NOIZ)

ビル全体が、紡ぎ、織りなしたものを纏うイメージがあり、それが柱のデザインにも生かされている(資料提供/株式会社パルコ)

タイル素材が持つ可能性について

3Dプリンターで形状シミュレーションした模型
凹凸タイルのテストピース
3Dプリンターで形状シミュレーションした模型と、凹凸タイルのテストピース。試行錯誤しながら生み出した味わい深い釉薬表現が感じられる(写真2点とも/シヲバラ タク)

NOIZ 豊田氏: これまで仕事を通じてさまざまな素材に触れ、その都度感動してきましたが、タイルという素材でここまで多様な表現ができることには驚きました。完成したタイルには、ずっと頬ずりしていたくなるような豊かな素材感があります。金属とは異なる、触れた瞬間のひんやりとした感触や、やきもの特有の重厚さなど、素材そのものがもたらす感覚を、ぜひ多くの方に体感していただきたいです。

NOIZ 近藤氏: 私がNOIZに入社して最初に担当させていただいた仕事が、美術家の野老朝雄さんと、常滑のLIXILやきもの工房さんとのプロジェクトでした。それから数年が経ち、再びこうしてご一緒させていただき、今回は自分自身のコントロールのもとで形状に落とし込む挑戦ができたことは、個人的にも非常に感慨深いです。

パルコ 加園氏: 豊田さんや安藤さんがタイルについて語る「つい触りたくなる」という表現に、タイルへの深い愛着を感じます。色だけでなく形状の多様性にも驚かされましたし、この素材にはもっと面白いことができるポテンシャルがあると確信しました。LIXILのやきもの工房を拝見し、長年蓄積されてきた技術の凄みを改めて実感しました。現代はついデジタルの進歩ばかりを追いかけがちですが、だからこそリアルなものづくりの価値を大切にしていきたいですね。
オープン後、HAERAを訪れた人々が、吸い寄せられるように柱に手を触れている光景を目にして、「狙い通りだ」と嬉しくなりました。平面ではなく立体的なタイルだからこそ、光の反射が一つとして同じになりません。LIXILさんとは、ぜひ今後も一緒に新しいものづくりに挑戦していきたいです。

NOIZ 安藤氏: 今回のプロジェクトは、このプロジェクトに関わった全員が同じ方向を向き、エネルギーを注ぎ込めたからこそ、このクオリティに到達できたのだと思います。「なんとしても実現したい」という一人ひとりの粘りと、私たちの設計を形にしてくださったタイルづくりの現場での挑戦。理想の金色が現れるまでの道のりを並走させていただくなかで、粘り強く試行錯誤を重ねるプロフェッショナルとしての姿勢を強く感じました。
建築の世界では、プロジェクトの規模が大きくなればなるほど、すべてがコントロールされ、均一であることが求められます。それも一つの価値観ですが、やきもののタイルには、手仕事ならではの「揺らぎ」や「ムラ」があります。それこそが、均質化された工業製品にはない、圧倒的な力強さを生み出しているのではないでしょうか。

LIXIL芦澤: 竣工したHAERAの空間に身を置いた時に、NOIZさんの思い描いたビジョンと、私どもが形にしたタイルが見事にシンクロしたと感じました。平面であることが一般的なタイルの世界において、これほど大胆な立体表現に挑戦できたことは、我々にとっても大きな自信になりました。HAERAを訪れる多くの人々へ、やきものが持つ無限の可能性を伝えられたら嬉しいです。


左から、豊田氏、近藤氏、モニター越しの安藤氏、加園氏、芦澤

ザ・ランドマーク名古屋栄

所在地 名古屋市中区錦三丁目 2501 番 1、2501 番 2、2514交 通:地下鉄東山線・名城線「栄」駅直結
事業主 三菱地所株式会社、J.フロント都市開発株式会社、日本郵政不動産株式会社、明治安田生命保険相互会社、株式会社中日新聞社
設計 株式会社三菱地所設計、株式会社竹中工務店
監理 株式会社竹中工務店
コンストラクトメネージメント 株式会社三菱地所設計
施工 株式会社竹中工務店
規模 地上41階、地下4階、塔屋1階・高さ約 211m
敷地面積 4,866.40m2
延床面積 約109,700m2
構造 鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート造
主用途 ホテル、オフィス、シネコン、商業、駐車場
竣工 2026年3月
開業 2026年6月
LIXIL使用商品
内装壁タイル
N3-1F-T1DG(金色)
N3-1F-T1EG(金色)
N3-1F-T1BG(金色)
N3-1F-T1CG(金色)
N3-1F-T1FG(金色)
N3-1F-T1AW(白色)
N3-1F-T1BW(白色)
N3-3F-T2DS(銀色)
N3-3F-T2GS(銀色)
N3-3F-T2FS(銀色)
N3-3F-T2GW(白色) 他22品番 計33品番
内装床タイル
DINAONE:ルクス スタトゥアリオホワイト ラパート 600角
( STATUARIO WH.LUX RTT4 600×600 )
HAERA-PARCO  https://haera.parco.jp/
HAERA | Projects - noiz architects  https://noizarchitects.com/projects/5111/
noiz architects  https://noizarchitects.com/
LIXIL施工事例サイト『HAERA』  https://www.biz-lixil.com/case/all/B260031/

取材・文/フォンテルノ
人物撮影/シヲバラ タク
撮影(クレジット表記除く)/エスエス企画

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公開日:2026年09月10日