まちの空間を活かす 1

都市に生まれたコミュニティ型商業空間「COMMUNE 2nd」(東京都港区)

「食」「学び」「働き」の場が共存する

「246 COMMON」「COMMUNE 246」を経て、2017年1月に「COMMUNE 2nd」として新たにスタートした

「COMMUNE 2nd」は、約250坪のオープンスペースで、エアドームを中心にフードカート、シェアオフィス棟、自由大学棟などで構成されている。
青山通り沿いの入口に黒を基調としたタバコスタントが立っていて、タープを張った通路を入っていくと、13のフードカートとレストラン棟「iki-ba」が並ぶ「食」のエリアが広がる。「246 COMMON」の時から出店している店がほとんどで、当時、若い人がチャレンジできる場にしようと駆け出しの飲食業者を集った。現在は、「ファーマーズマーケット@UNU」の野菜を使った料理や動物性の食材を使用しないヴィーガン料理、クラフトビールなど、各種専門料理を提供している。デザインが個性的なフードカートは、キッチンカーや移動式コンテナを改装した非建築物のため、建物確認申請や基礎工事が必要ない。中には東京大学建築学専攻Advanced Design Studies(T-ADS。隈研吾研究室・千葉学研究室・小渕祐介研究室の意匠系3研究室による、先端のデザインを扱うスタジオ)が手掛けたものもある。

世界のタバコと一緒にコーヒーやお酒が楽しめるタバコスタンド。嗜好品として長い歴史を持つタバコの文化を伝える。屋上は喫煙コーナーになっている
「COMMUNE 2nd」の配置図(提供/COMMUNE 2nd)

敷地中央に進むと、大きな白いエアドームが現れる。「COMMUNE 2nd」の共有スペースで、アーチのテントの下には、ベンチとテーブルがあり、屋台で購入した品を食べたりして寛げるほか、イベント会場にもなる。敷地内には、ほかにタープも点在していて、日差しや雨を避けながら風が感じられる心地よい空間となっている。
その先には、シェアオフィス棟・MIDORI.so2が立つ「働き」のエリアが続く。MIDORI.so2は、Mirai Instituteが運営するメンバーシップ制コワーキングスペース「みどり荘」の一つ。「COMMUNE 2nd」の施設運営をしているメディアサーフコミュニケーションズもMIDORI.so2に入居している。さらに、L字に曲がった路地は、自由大学棟がある「学び」のエリア。自由大学は学校法人ではなく、“大きく学び、自由に生きる”をテーマに、ユニークな講義を展開する学びの場で、誰でも参加できる。その路地を抜けると青山通りから折れた公道に繋がり、通りに面してコーヒーと焼き菓子の店「SHOZO COFFEE STORE」が立つというつくりで、「COMMUNE 2nd」には敷地と公道を仕切るものがなく、回遊できるようになっている。

各種専門料理が楽しめる個性的なフードカート。いずれも車輪がついていて、移動できるようになっている

エアドームは「COMMUNE 2nd」の中心的なスペース
点在するタープが寛ぎの空間を演出する

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公開日:2017年07月31日