藤森照信氏

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貴志雅樹氏

第二部 対談内容:PDFファイル(420KB)

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INAX the TILE space主催 移転グランドオープン記念講演「建築の可能性」(第1回/全3回) 藤森照信×貴志雅樹「建築の原点へ、藤森流建築の手法」 ゲスト:藤森照信 聞き手:貴志雅樹

講演日時: 2008年1月22日(火)
会場: INAX大阪ビル13階 大会議室

INAX the TILE space」は、去る1月のINAX大阪ビルの新築に伴う記念行事の一環として、全3回シリーズの講演会・対談が スタートいたしました。テーマは「建築の可能性」。聞き手は富山大学教授の貴志雅樹先生で、第1回目のゲストは、東京大学 生産技術研究所教授・藤森照信先生です。藤森先生は日本の近代建築史がご専門ですが、ご存じのとおり、近年は独特の作風で 建築家としてもご活躍中で、更に「路上観察学会」や文筆活動なども精力的になさっています。今回の講演会では、藤森先生 ご自身が設計なさった作品を通して、建築に対する考え方や、歴史、文化にかかわる興味深いお話を、貴志先生が見事に 引き出して下さいました。

第一部 藤森照信講演会

Part-1究極の建築

まず、藤森先生が目指す理想の建築を2つ紹介されました。ともに、自然と互いに引き立て合っている、自分にとって究極の 建築だと語ります。ひとつは、スペインとの国境に近い山の乾燥地帯に建つ、ポルトガルの「石の家」です。2つの石の上に コンクリート板を架け、瓦を置いたものです。もう一つは、日本の国宝「三徳山三仏寺投入堂」です。特別な許可を得て 上ったお堂から見る景色に、日本の山には精霊がいるということを実感した、と話されました。

  • 1-1ポルトガル石の家
  • 1-2三徳山三仏寺投入堂

Part-2藤森流建築-建築と素材-

藤森先生は、古代からの技術や自然素材の採用に、なみなみならぬ執念を燃やしています。Part-2で紹介する作品群も、 文献を調べたり、現代の技術で何とか実現する方法を探ったり、試行錯誤する努力とこだわりは、正に"ものづくりの心"が うかがえる奮闘ぶり。45歳の時に初めて設計依頼されて実現した「神長官守矢史料館」、土風モルタル壁に挑戦した 「秋野不矩美術館」、敷地にあった木を建物の中に貫通させて記念碑的に残した「熊本県立農業大学校」、 板の保護のために表面を焼いて炭化させた"焼杉"と手曲げ銅板を使った「ラムネ温泉」、焼杉を使った近作の 住宅「焼杉ハウス」、大きな竹の構造体「ザ・フォーラム」などが面白おかしく紹介されています。

  • 2-1神長官守矢史料館
  • 2-2秋野不矩美術館
  • 2-3熊本県立農業大学校
  • 2-4ラムネ温泉
  • 2-5焼杉ハウス
  • 2-6ザ・フォーラム
  • 2-7不東庵

Part-3藤森流建築-建築と植物-

自然素材にこだわる一方で、直接、植物を建築に植え込む試みにも取り組んでいます。Part-3では、江戸時代の 伝統的な芝棟の解説に始まり、自作の、屋根のてっぺんに松を植えた「一本松ハウス」、屋根にタンポポを植えた 自邸の「タンポポハウス」、芝棟と銅板の近作「ねむの木子ども美術館」、芝の屋根となまこ壁、屋根のてっぺんには ツバキを植えた「ツバキ城」、赤瀬川原平さんの自邸「ニラハウス」などが紹介されています。

  • 3-1芝棟
  • 3-2一本松ハウス
  • 3-3タンポポハウス
  • 3-4ねむの木子ども美術館
  • 3-5ツバキ城
  • 3-6ニラハウス

Part-4藤森流建築-茶室-

藤森先生は、最近、特に茶室に力を注いでいるそうです。元首相・細川護煕さんの「一夜亭」、 頼りなさそうに木の上に鎮座する藤森邸茶室「高過庵」など、ユニークな作家ぶりが披露されています。

  • 4-1一夜亭
  • 4-2矩庵
  • 4-3高過庵

第二部 藤森照信×貴志雅樹 対談

最後は貴志先生との対談です。藤森先生が建築学科を選んだきっかけ、苦しみ抜いた「神長官守矢資料館」の設計、 自分の建築の特徴を自覚した原広司先生のひと言、そして、素材や職人の技術を通して見た「建築の可能性」について語られています。

■藤森 照信(ふじもり・てるのぶ)プロフィール
1946年長野県に生まれる
1971年東北大学工学部建築学科卒業
1978年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程修了
1980年東京大学で工学博士号取得。専攻は建築史・生産技術史
1996年東京大学国際産学協同センター教授
1998年〜東京大学生産技術研究所教授
主な受賞:学位論文「明治期における都市計画の歴史的研究」で 日本都市計画学会賞論文奨励賞(1980)、『明治の東京計画』(岩波書店 1982)で 毎日出版文化賞、東京市政調査会藤田賞(1983)、『建築探偵の冒険 東京篇』 (筑摩書房 1986)でサントリー学芸賞(1986)、「ニラハウス」で日本芸術大賞 (1997)、「日本近代の都市・建築史の研究」ほか一連の論文で日本建築学会賞 (論文)(1998)、「熊本県立農業大学校学生寮」で日本建築学会賞(作品) (2001)など。
■貴志 雅樹(きし・まさき)プロフィール
1949年和歌山県生まれ
1975年神戸大学大学院修士課程終了後、安藤忠雄建築研究所
1978年貴志雅樹+環境企画室設立
現在、富山大学芸術文化学部教授
著書に、「ガレキ=都市の記憶」(共著、1966年、樹花社)
「LA-TOUR」で1988年SDレビュー入選
1989年アンドレア・パラディオ国際建築賞
1989年商環境デザイン賞受賞
1996年金岡幼稚園で堺市景観賞受賞
2002年青森市北国型集合住宅国際設計競技審査員特別賞受賞
2005年第36回中部建築賞受賞

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