成形は、高濃度の泥漿(でいしょう):粘土原料等を水で溶解し
たものにシャモット(陶磁器を粉砕したもの)を固形分比で、約30%と大量に混ぜたものを石膏型に流し込む圧力鋳込み方法が採用されています。泥漿の水分はこの圧力により石膏型をとおして外部に排出されます。石膏型は上型と下型があり、脱型の時の抵抗で変形や切れを生じさせないために型の一部は数個の駒を組んで一つの形を形成します。一般に、大型のテラコッタは、窯に入れた焼く上での制約あるいは一方向に脱型できない入り組んだ形状のために、小さい部材に分解して焼成後接着するという手法がとられますが、ここではできるだけ一体成形を採用しています。
軟らかい粘土を石膏型に押し付けるいわゆる型押しと比べて、泥漿を使うために各部位が均一に充填されていくため変形などは起こりにくいが、脱型がスムーズにいかないとそれが原因で亀裂を生じることがあるのですが、脱型に配慮した型作りのノウハウが活かされ、どのテラコッタも狙ったとおりのシャープなラインや角度がきれいに再現されています。なお、このテラコッタ成形に使われる石膏型による鋳込みは、衛生陶器のような中空の素地を形成するものではなく、完全充填されたものです。(写真7)(写真8) |
写真7
透かしテラコッタの成形工程
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1923年竣工の旧帝国ホテルに使用された透かしテラコッタ
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写真8
"孔雀の間"改修用のテラコッタのモックアップ
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