2024/12/25

前回ご紹介した新製品「bathtope(バストープ)」。
今回は、製品開発のきっかけとなった想いや、発売に至るまでの開発過程について、
デザイナー・開発者が製品に込めた想いとともにより深く「bathtope」の魅力をご紹介します。

より自由な浴室空間を模索。行き着いたのは
不自由さを解消する、取り外しができる浴槽。

bathtopeは、取り外しが可能な布製の浴槽(fabric bath)を備えた浴室空間です。この製品は、「浴室空間を開放したい」という想いから生まれました。造語である『bathtope』という製品名は、お風呂の“bath”と、多種多様な生物の受け皿の“biotope (ビオトープ)”をかけたものです。tope (トープ) は“topos (トポス)”という場所を表すギリシャ語からきており、ライフスタイルが多様化し、変化した入浴習慣を受け止める新しい場所としての提案をしています。

浴室空間の中で最も不自由なものは、「浴槽」。これを簡単に設置したり、取り外したりすることができれば、より自由な浴室空間が生まれると考えました。取り外すことを前提に、「取り付けの難しいもの」「重いもの」「嵩張るもの」はアイデアとして除外。そこで、折り紙のように平面から立体になるものをイメージしました。実際に、浴槽のデザイン段階では紙を折ったもので、浴槽形状の検討が行われました。

扱いやすさと安定した入浴感。両方を叶えるための素材と構造。

開発においては、手軽に取り外しができる重量と、布の強度のバランスを取ることに難しさがありました。取り外しを想定すると、女性でも手軽に扱えて、簡単に設置できる重さの浴槽であることが必要です。それと同時に、安定して人の体と体重、そしてお湯を支えることのできる布強度も重要となります。最終的には強度を備えたPET繊維と、防水性がありサラサラと肌ざわりの良いウレタンフィルムとの複層を素材として用い、約900gの軽い浴槽を実現しました。

またハンモック構造の浴槽は、お湯を入れるとお湯の重量でテンションがかかり安定します。首や肩周りは柔らかく受け止めてくれるのも、この構造ならではです。
さらに、ユーザーにご満足いただける入浴感を確立するため、社内外を合わせ延べ約200人の方に入浴していただき、テストを重ねました。これらの試行錯誤を経て、包まれるような新しい感覚の入浴感を実現しました。

またハンモック構造の浴槽は、お湯を入れるとお湯の重量でテンションがかかり安定します。首や肩周りは柔らかく受け止めてくれるのも、この構造ならではです。
さらに、ユーザーにご満足いただける入浴感を確立するため、社内外を合わせ延べ約200人の方に入浴していただき、テストを重ねました。これらの試行錯誤を経て、包まれるような新しい感覚の入浴感を実現しました。

コンセプトから、販売に至るまで、
新たなチャレンジが詰まったプロジェクト。

長年浴室を手掛けてきたLIXILにとって、毎日お湯に浸かる習慣から、気分によって入浴方法を選べるという提案は新しいチャレンジでもありました。湯を効率的に使うシャワー浴と湯を溜めて贅沢に使う浴槽浴を、気分やライフスタイルに合わせて楽しみながら使い分けできる。シャワー浴と浴槽浴の割合をユーザーに委ねる、ある意味使い方を限定しない浴室商品です。そこから環境に寄り添う新しい入浴習慣が生まれればいいなと思っています。

例えばホテルで採用いただいた場合には、常時浴槽を設置するのではなく、フロントにてお湯に浸かるかどうかをゲストに選んでいただくことが可能です。ご希望のお客様へは、5色の浴槽カラーの中からお好みの色を選択していただくことで、新感覚の入浴時間と特別な宿泊体験をご提供できます。

さらに広告や販売戦略にも新しい試みがありました。これまで当たり前に使われてきたカタログのをなくし、WEBのスペシャルサイトに情報を集約。広告やPR施策としては、デジタル広告やSNS広告、デザイン系イベントへの出展を通じて、認知を高めることを狙いました。
また販売においては、工事を含めた製品販売をLIXILオンラインショップで実施。実際に製品を使用するエンドユーザーから、ダイレクトに設置箇所の現地調査を含めた購入依頼が可能となっています。このように、お客様のもとに届くまでのあらゆる過程で、当たり前だったものを見直し、新しいことにチャレンジしている製品なのです。

一部下記記事より引用:
SPECIAL INTERVIEW | bathtope by LIXIL|DESIGNART TOKYO 2024|Reframing
https://designart.jp/designarttokyo2024/interview/6278/

いかがでしたでしょうか。
bathtopeは、入浴習慣そのものに対する想いと、
そして様々な挑戦や工夫の積み重ねから完成した製品です。
こだわりの詰まった製品を、ぜひ多くの人に体験していただけたらと思います。