空間の研究・開発

空間の研究・開発空間の研究・開発

空間づくりを
ユーザーと共に

ひとりでも多くの方にとって使いやすい空間をつくるための取り組みをご紹介します。

公共トイレに関する取り組み

公共トイレの器具配置の検証

最近では、公共施設やショッピングセンターのトイレにもさまざまな設備が設置され、便利になってきましたが、一方で、ボタンの種類や設置位置がまちまちで使い方が分かりにくいといった問題も生まれています。
そこで、視覚に障がいをもった方からお年寄りまで、安心して外出できるように、操作部(便器洗浄ボタン、呼出しボタン)、紙巻器について共通のルールをつくるための検証(産学協同)を実施しました。これには、目の不自由な方を含め、さまざまな障がいをもった方にご協力をいただき、操作部の使いやすい位置について検証を行いました。

  • 視覚に障がいのある方の検証の様子

  • 車椅子使用の方の検証の様子

JISの制定とショールームの多機能トイレへの展開

実施された検証の結果をもとに、2007年3月、公共トイレにおける腰掛便器の横壁面の便器洗浄ボタン、呼出しボタン、紙巻器の配置について規定したJIS S 0026※が制定されました。
リクシルではショールームにおける多機能トイレの壁面配置を順次、前述のJISを基準とすることで、必要な設備を整えるだけでなく、ひとりでも多くの方が使いやすい空間づくりを心がけています。
※高齢者・障碍者配慮設計指針公共トイレにおける便房内操作部の形状、色、配置及び器具の配置

  • JIS S 0026を満たす壁面器具設置例

  • リクシルショールーム高松「多機能トイレ」

パブリックトイレプラン集を見る
(WEBカタログ)

JIS S 0026 
高齢者・障害者配慮設計指針

公共トイレにおける便房内操作部の形状、色、配置及び器具の配置

JIS制定までの経緯

公共トイレは、紙巻器・手すりをはじめさまざまな設備が設置され、機器の高機能化や多様化でユーザーにとって便利になってきています。しかしその一方で、トイレ内のどこに何があるのか、どのように操作するのかが分かりにくい、という新たな問題も生まれてきています。トイレは、介助が必要な方を除けば一人で利用し、個人の尊厳の観点からも安心できる場所でなければなりません。そこで、視覚に障がいを持っている方も含め設備機器の使いやすい位置を検証し、トイレ内の壁面配置の共通ルールが定められました。
本規格は2007年3月20日に制定されました。腰掛便器の横壁面の便器洗浄ボタン、呼出しボタン、紙巻器の配置について規定し、より多くの方に分かりやすく使いやすい公共トイレの実現を目指しています。

適正範囲

本規格は鉄道駅、公園、集会場、病院、百貨店、事務所等不特定多数の人が利用する公共トイレの腰掛便器の横壁面に、便器洗浄ボタン及び呼出しボタンを設置する場合の操作部及び紙巻器の配置について規定しています。

操作部及び紙巻器の配置及び設置寸法

操作部及び紙巻器の配置及び設置寸法

3設備の設置寸法の基点

3設備の設置寸法の基点は、便座上面先端である

操作部及び紙巻器の配置

  • ・操作部及び紙巻器は、腰掛け便器の左右どちらかの壁面にまとめて設置する
  • ・便器洗浄ボタンは、紙巻器の上方に設置する
  • ・呼出しボタンは便器洗浄ボタンと同じ高さで腰掛便器後方に設置する
  • ・呼出しボタンは利用者が転倒した姿勢で容易に操作できる位置にも設置する事が望ましい

色について

  • ・洗浄ボタンは無彩色または寒色系、呼出しボタンは暖色系
  • ・周辺部コントラストを確保する

単位:mm

器具の種類 便座上面先端(基点)
からの
水平距離
便座上面先端(基点)
からの
垂直距離
二つの器具間距離
紙巻器 X1:便器前方へ 
約0〜100
Y1:便器上方へ 
約150〜400
便器洗浄ボタン Y2:便器上方へ 
約400〜550
Y3:約100〜200
(紙巻器との垂直距離)
呼出しボタン X2:便器後方へ 
約100〜200
X3:約200〜300
(便器洗浄ボタンとの水平距離)

操作部及び紙巻器が、この規格に示す設置寸法以外となる場合の配置例

便座洗浄ボタン及び呼出しボタンの高さ(Y2)がこの規格に示す設置寸法
(基点から便座上方へ約400〜550mm)以外となる場合の配置例

@同一壁面上に、手すり、手洗器を設置する場合

同一壁面上に、手すり、手洗器を設置する場合

A腰掛便器横壁面がカウンター、キャビネット形状である場合

腰掛便器横壁面がカウンター、キャビネット形状である場合

便座洗浄ボタンの紙巻器と垂直距離(Y3)がこの規格に示す設置寸法
(約100〜200mm)以外となる場合の配置例

・手すり、棚など、便器洗浄ボタンの真下に手を乗せることができるものが設けられる場合

※ただし、便器洗浄ボタン及び呼出しボタンの高さ(Y2)はこの規格に示す設置寸法の上限(基点+550o)を超えないものとする。

呼出しボタンの前後位置(X2)及び呼出しボタンと水平距離(X3)がこの規格に示す寸法(X2:基点から便器後方へ約100〜200mm、X1:約200〜300mm)以外となる場合の配置例

・同一壁面上に、温水洗浄便座リモコンを設置する場合

同一壁面上に、温水洗浄便座リモコンを設置する場合

3設備の基準点

・紙巻器使用するトイレットペーパーの心棒の中央又は中央付近
二連式(縦型及び横型)の紙巻器の場合は、二つの心棒の中央付近を結んだ直線上のすべての点

・便器洗浄ボタンボタン部の中央

・呼出しボタンボタン部の中央