『東京ビルディング TOKIA』
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 東京都中央区丸の内に新たな施設『東京ビルディングTOKIA』が平成17年11月にオープンしました。「東京ビルディング」の地下1階〜3階に揃った全29店舗の商業ゾーンが『TOKIA』です。レストラン&バーなど飲食店を中心に、ビューティ&スパや女性専用クリニック、託児所といった女性の為の施設もいくつか構成されています。この『TOKIA』の吹き抜け空間の内装コア壁面に弊社のテラコッタルーバーが施工されています。今回は屋内の大空間の内装壁材として採用されたINAXの大形テラコッタをご紹介します。
コア壁の仕様と仕上がり 大壁面を演出する大形テラコッタの美しさ
 『TOKIA』の吹き抜けの空間の内装コア壁面に大量のテラコッタルーバーが使用され、迫力のあるダイナミック空間演出がされています。テラコッタルーバーの中空の厚みは40mmでベースとなる素地に直線に掘り込んだリブが採用され、見る方向や照明の光りの当たり方によって壁のボリューム、陰影感に違いが見られます。また、昼間の印象と夜間照明時の印象は大きく異なります。美しく重厚な焼き物の質感は人々の五感に強く訴える素材です。テラコッタルーバーは、新しい丸の内の新しい都市空間を演出しています。
『TOKIA』大形テラコッタの3つの特徴 1.焼物らしい赤鉄発色 2.乾式工法に適した重量設計 3.シャープなリブ面の再現
DATA
所在地 / 〒100-0005 東京都千代田区丸の内2丁目7番3号
施主 / 三菱地所・東京三菱銀行
設計 / 三菱地所設計
施工 / 鹿島建設

2005年(平成17年)11月開設
* 施工箇所は「東京ビルディングTOKIA」吹き抜け空間です。
TOKIA TOKIA
ビルの骨格として屹立するテラコッタルーバーによるコア壁 三菱地所設計建築設計部主幹伊藤誠之様、三菱地所設計建築設計部副主事加藤匠様
テラコッタ工場検品
テラコッタ工場検品
 東京ビルディング低層部に生じた都市空間はコアを挟んで2つの屋内貫通通路が歩行者ネットワークを形成しています。店舗等のスペースもありますが、随所に開口部を設けて外光を取り込み、街路のような半屋外的空間となるような空間構成としました。  この屋内貫通通路のデザインにあたっては、コアや床スラブ、店舗スペースを区切る為の壁(スキン)といった空間の構成要素が際立つようデザインし、それぞれの要素を風合いを持ったテクスチャーで作ることで、街という視点で見たとき、それぞれが都市のファニチャーとなるイメージでデザインを進めました。その中で、特にビルを支えるコアシャフトのボリュームはデザイン上の骨格にもなるよう、全面を濃い色調のテラコッタタイルで被うこととしました。テラコッタはルーバー状にして使用するとその厚みによる陰影で強い存在感を表現でき、その上で土の持つ柔らかい表情も合わせ持つので、店舗やオフィスロビー等も混在する都市的な空間でも調和しながら存在感が際立ちます。「柔らかい素材感で硬質なシステムを構成する」というデザイン意図を表現するにはうってつけの素材でした。
 今回作成したテラコッタは外装越しの遠景で見るとルーバーによる陰影があり、間近で見るとリブの面状による陰影があるといった様にどのような視点から見てもそれぞれに表情を持たせるよう、型の形状には模型で検討を繰り返しました。また、ルーバーの隙間から雑物が見えないよう、下地の留め金具の形状にも現場でアイデアを積み重ねました。更にこのテラコッタ壁はコアシステムをより強調する為に折上げ天井にコアが飲み込むディテールとして、照明によりコアの存在感が際だつデザインとしていますが、ウォールウォッシャーの低い角度からの照明に耐えうるよう、テラコッタには非常に高い精度が求められました。陰影を強調するよう台形型の断面となっているために、乾燥時に反りが生じやすく、精度を出すのがより難しいものでしたが、最終的には要求する精度を実現して頂き、狙い通りのコアシャフトとなりました。
 テラコッタは時を重ねる毎に風合いを増す材料です。今回の建物に求められたことも「街」が作られていく中で、色褪せないデザインであり、テクスチャーでした。今回、貫通通路で使用している材料はそのような視点から選択していますが、今後の「丸の内」の変化の中で、この貫通通路が時を刻む毎に、街と調和した佇まいとなることを願いたい。
近景 近景
近景
近景
中景_2階渡り廊下から見下ろす 中景_1階エレベーターホール
中景
2階渡り廊下から見下ろす
中景
1階エレベーターホール
伊藤誠之/いとう・のぶゆき
三菱地所設計建築設計部主幹
1960年生まれ。1985年東京大学大学院
工学系研究科(建築学科)修士課程修了。
同年三菱地所入社、現在に至る。
主な作品:花京院スクエアなど。

加藤匠/かとう・たくみ
三菱地所設計建築設計部副主事
1972年生まれ。1998年東北大学
工学研究科都市・建築学修士課程修了。
同年三菱地所入社、現在に至る。
主な作品:ユニセフハウス(2001)など。
コーナー部分ディテール 正面ディテール ディテールアップ
コーナー部分ディテール
正面ディテール
ディテールアップ
製造担当者/(株)INAX常滑東工場 常滑東製造課内藤剛史氏のコメント
 お客様との施工面、意匠面の幾度の打ち合わせの結果、層厚40mmの重厚感を活かしながらの軽量化を試み、断面中空の形状にてご採用いただきました。表面には、15mmピッチの繊細なリブを入れるようご指示いただきました。製造場面では、その繊細なリブの直線性を保つ成形の調整・管理に苦心しました。リブの直線性に影響を与える、『側反り』については、大量のデータをとり、湿式成形方法の限界に挑戦しました。生産終了までそのフィードバックは続き、その結果、通常の生産品よりも、高いレベルでの直線性が得られていると思います。TOKIAという現場に関われた喜びはもちろんのこと、より多くのお客様の目に触れることのできる内装大形テラコッタの可能性を広げていきたいと思っております。
施工断面部分詳細図
 この吹き抜けの空間の内装コア壁面では、900×120(mm),900×270(mm)二種類のテラコッタルーバーを使用しました。中空の厚みは40mmでベースとなる素地に直線に掘り込んだリブが採用され、乾式金具による施工です。またルーバーの隙間から雑物が見えないよう、下地の留め金具の形状工夫がされています。
施工断面部分詳細図
取付け断面図
取付け断面図
ルーバー正面
ルーバー正面
取付け断面詳細ディテール図
取付け断面詳細ディテール図
取付け立面詳細図
取付け立面詳細図
取付け断面詳細図
取付け断面詳細図
TOKIAのホームページ

TOKIAのホームページは左記ボタンをクリックしてください。
http://www.tokia.net/index2.html

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