今回作成したテラコッタは外装越しの遠景で見るとルーバーによる陰影があり、間近で見るとリブの面状による陰影があるといった様にどのような視点から見てもそれぞれに表情を持たせるよう、型の形状には模型で検討を繰り返しました。また、ルーバーの隙間から雑物が見えないよう、下地の留め金具の形状にも現場でアイデアを積み重ねました。更にこのテラコッタ壁はコアシステムをより強調する為に折上げ天井にコアが飲み込むディテールとして、照明によりコアの存在感が際だつデザインとしていますが、ウォールウォッシャーの低い角度からの照明に耐えうるよう、テラコッタには非常に高い精度が求められました。陰影を強調するよう台形型の断面となっているために、乾燥時に反りが生じやすく、精度を出すのがより難しいものでしたが、最終的には要求する精度を実現して頂き、狙い通りのコアシャフトとなりました。
テラコッタは時を重ねる毎に風合いを増す材料です。今回の建物に求められたことも「街」が作られていく中で、色褪せないデザインであり、テクスチャーでした。今回、貫通通路で使用している材料はそのような視点から選択していますが、今後の「丸の内」の変化の中で、この貫通通路が時を刻む毎に、街と調和した佇まいとなることを願いたい。
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中景
2階渡り廊下から見下ろす |
中景
1階エレベーターホール |
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