パッシブファーストの住まいづくり(第4回)

パッシブデザインリフォームでマイナスの暮らしをプラスに変える

塩谷理枝、塩谷敏雄(株式会社エコリフォーム)

東京都江東区のエコリフォームさまは、都市部の狭小住宅をフルスケルトン状態にし、新築住宅と同等の性能や居住性を備えた住宅にリフォームする事業に注力しています。リフォームでは対応が難しいパッシブデザインの要素も取り込みながら、居住者が抱える不満を解消し、なおかつ新しい価値を備えた住宅へと再生し顧客満足につなげています。

塩谷 理枝さま

代表取締役 塩谷 理枝さま / 取締役 執行役員 塩谷 敏雄さま

株式会社エコリフォームさま

東京都江東区富岡1-22-29 2F

代表取締役 塩谷 理枝さま
設立 2004年6月

株式会社エコリフォームさまのパッシブファーストの住まいづくり

築60年の8坪の住宅をパッシブデザインの要素を取り込みながらリフォームした事例。

──どのような目的でパッシブデザインに取り組んでいますか。

住まいに新たな価値を提供するため

塩谷 敏雄さま

当社の歴史は、1961年に私の父親が塩谷工務店を創業したところから始まっています。その後、世の中のリフォーム需要の高まりに伴い、2004年にエコリフォームを設立しました。依頼の多くは都市部の狭小地に建つ住宅のリフォームです。築古の工事依頼が多く、中には築60年以上というものもあります。
古い建物は、ただでさえマイナス面が多い。それを新築住宅と同等の性能や居住性という新しい価値を付与することで、プラスまで持っていくことがわれわれの役割です。

塩谷 理枝さま

お客さまは、ただ家をきれいにしたいわけではありません。リフォームを通して“何か”を実現したいのです。都会にいても自然を感じられる暮らしや、冬の朝、布団からスッと起きられる暮らしがしてみたい…。私たちは、こうした声にならないお客さまの潜在的な要望を顕在化させるような提案を行っています。そのため、設備だけを交換するといったリフォームではなく、それぞれのお客さまが求める快適な暮らしを実現するリフォームを提案しているのです。一つ何かをしたからといって快適になるわけではありません。建物自体で空気を流すことを考えたり、システムに頼らずに調湿を行うためには、どう工夫したらいいかなどを考えていくうちに、行きついたところがパッシブデザインです。

──パッシブリフォームのためにどのような提案をしていますか。

高気密・高断熱に調湿、通気、輻射をプラスした「呼吸する家」

塩谷 敏雄さま

10年程前に建築家の丸谷博男先生と出会い、社員全員で丸谷先生が主宰するデザイン塾に参加しました。その後、野池政宏先生の講座なども受講し、リフォームでもパッシブデザインの要素を取り入れることはできないかと考えるようになりました。築古の建物で一番に改善するべきことは耐震性能の向上です。その上で居住性や快適性も伴っていなければなりません。そこで生まれたのが、高気密・高断熱で、なおかつ調湿や通気、輻射にも注目した「呼吸する家」というコンセプトです。室内に調湿機能を備えた自然素材を利用することで湿気をコントロールし、体感的な涼しさを実現するのです。また、屋根には遮熱材や調湿・断熱機能を持った建材、可変透湿シートをはじめ、空気層で構成した構造を採用し、夏場の熱を遮断しながら、湿気がたまることを抑制しています。さらに、蓄熱機能を備えた自然素材からの輻射熱を有効利用することで居住環境を整えます。

昔ながらの狭小住宅の3階部分を減築し、パッシブデザイン的な配慮を盛り込んだ形でリフォーム。

塩谷 理枝さま

吹き抜けを設けることも多いですね。狭小地の場合、できるだけ床面積を広く確保するために吹き抜けは敬遠されがちですが、2階の窓からリビングに日射を取り込むことで、明るさはもちろん、冬は暖かくすることができます。また、通風の面でも効果的です。

──どのようにパッシブデザインを提案していますか。

女性スタッフを中心に丁寧な説明で完成後のイメージを共有

塩谷 敏雄さま

当社には営業スタッフはいませんが、Web担当者が2名在籍しており、ホームページやYouTube、SNSを通じて、コンセプトから施工現場の写真まで、細かく掲載しています。それにより、平均すると月40件ほどの問い合わせがWeb経由であります。お客さまは、情報を確認してから問い合わせをしてくださることが多いため、初めの段階から当社の考えに共感してくれているケースがほとんどです。だからと言って、「これを変えれば良くなります」ではお客さまは納得しません。ただ断熱性能を上げればいいわけではないこと、バランスを考えた家づくりとはどういったものかなど、メリットもデメリットも女性スタッフが中心となり丁寧に説明するようにしています。リフォーム住宅は完成後をイメージしにくいものです。設計根拠を分かりやすく説明することで、お施主さまがイメージしやすいように心掛けています。

※一般財団法人建築環境・省エネルギー機構HPより

ホームページに解体から完成までの流れを詳細に載せることで、お客さまの信頼を得ています。

イラストなどを使い、お客さまとのイメージをすり合わせながらプランを決定していきます。

塩谷 理枝さま

お客さまは安ければ満足するわけではありません。お客さまに満足していただくためには、リフォーム後の暮らしが始まった後に、計画時点でのイメージと差異がないようにすることが大切です。また、例えば、今住んでいる家が夏場にとても暑くても、遮熱部材を付ければ解消することなど、プロとして、いかに小さなエネルギーで快適性を向上させるかを提案することも私たちの大事な仕事だと考えています。

女性スタッフが活躍するエコリフォームさま

女性スタッフが活躍するエコリフォームさま

──今後、どのような住宅を提供していきたいとお考えですか。

見えないところにこそこだわった家づくり

塩谷 敏雄さま

リフォームは、“売るためのもの”ではなく、“住むためのもの”です。新築住宅の場合、特に分譲住宅などは売れる住宅にすることが優先されることがあるのではないでしょうか。リフォームは、お客さまが既に住んでいて、何らかの悩みを抱え、その悩みを解消するために行うものです。新築以上に“売る”ではなく、快適に“住む”ための方策を検討していく必要があるのです。
今後は、宅建業者の資格を生かして、買取再販事業にも取り組みたいと思っています。買取再販の場合、リフォーム工事のようにお客さまの要望を聞きながら提案するのではなく、作り手がお客さまのニーズをイメージしながらリフォーム内容やプランを考えていく必要があります。これまでのパッシブデザインリフォームの経験を生かして、他の買取再販事業者とは違う新しいカタチの住宅を提案していきたいです。

塩谷 理枝さま

お客さまの言われたとおりにすることがいい家づくりではなく、付加価値をどれだけ提供できるかが私たちの腕の見せ所ではないでしょうか。大手住宅会社とは違い、人手は限られています。そのために、やらないことを決めることも重要だと考えています。その上で、見えないところにまで徹底的にこだわった、自分たちにしかできない家づくりを行っていきたいと思っています。

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公開日:2022年01月26日