ハーシュ・ベドナー・アソシエイツが手掛ける

ハイクラスブランドのホテルインテリア

上田良哉(ハーシュ・ベドナー・アソシエイツ東京オフィス プロジェクトディレクター)

  • facebook
  • twitter

「落ち着きと、非日常の華やかさ」を実現した共用部

三井不動産グループの新ホテルブランド「ザ セレスティンホテルズ」は、ホテルの滞在そのものを旅の目的とする“デスティネーション型ホテル”を目指しており、「ホテル ザ セレスティン銀座」においては、“華麗なる静謐”という開発コンセプトが与えられた。HBA東京オフィスは、どのようなデザインでこれに応えていったのだろうか。
「三井不動産より “華麗なる静謐”という開発コンセプトをいただき、銀座という場所を鑑みて、華やかな街から帰って来るホテルとして、少し落ち着いた感じにしようと考えました。加えて、銀座という大人の街ならではの高級感ですね。
また、限られた敷地を利点と捉え、大規模なホテルではできないレジデンシャルな雰囲気、スタッフがお客様に“お帰りなさい”と言える、第二の家のような使われ方をしていただけるホテルを目指しました」
確かにホテルの入口にしてはブロンズ色の落ち着いたドアがあるだけで、外からエントランス空間が見えず、ホテルとしての視認性は低いかもしれない。しかしアッシャー(案内係)がいることで入口であることがわかり、サービスも不足なく行われる。そして入口を入ると、銀座にふさわしいエレガントなロビー空間が広がる。
「1階エントランスの見せ方は意見が分かれたところです。狭い空間なので間仕切りをなくし、一つの空間に見せたほうがいいという意見もありましたが、一目で空間を見渡せると、かえって狭さが強調されます。間仕切りを入れてゾーニングすることで、向こうにも別の空間があることを期待させ、空間の奥行き感を演出しました。
全体的にはモダンなデザインにまとめながらも、どことなく“和”のニュアンスを感じていただけることを意識しました。ロビー空間を印象づける壁面を、巨大なガラスで飾っていますが、凹凸のガラスの背面には数種類のトーンの違う金箔を貼り、よく見ると“和”の質感が漂っています。また、ラウンジの格子の間仕切りなども木でつくるといかにも“和”になりますが、金物でつくることでニュアンスだけを醸し出しています。
照明は全体的に明るくするのではなく、ポイントとなる部分を浮かび上がらせるようにしました。柔らかい光で落ち着いた雰囲気にし、陰影や光の効果による奥行き感を出しています」
家のようなくつろげる雰囲気を持ちながら、非日常の華やかさも求められるホテルのインテリア。共用部は、シンプルでありながら素材の持つ質感を生かし、その本質を引き出す照明にして、高級感溢れるロビー空間に仕上がっている。
建物は、1階にロビー、2?13階が客室、14階にレストラン、バーがある14フロアで構成されている。客室は、約24m2のスーペリアダブル(65室)を中心に104室あり、車いすでも入室できる水まわりスペースを備えた客室を1室設けている。

「ホテル ザ セレスティン銀座」の入口。スタッフがお客様に「お帰りなさい」と言えるレジデンシャルな雰囲気になっている
エントランスホールのガラスモザイクの壁面は、よく見るとガラスの背面に金箔が貼られ、ディテールに“和”のニュアンスを取り入れたモダンなデザインになっている

(左)印象的な三重の円環照明はLEDの落ち着いた色調にしている。縦格子の欄間のような部分は、天井を低くし、落ち着いた空間にしている。ガラスの仕切りを隔てた奥にもソファ空間がある
(右)抜け感のあるスクリーンにより、空間を緩やかに仕切る

エントランスからロビーまで、3つのエリアに区切ることで、奥行き感を出している。構造上のメリットを生かした連続する空間により、視覚的に奥へと誘導する

このコラムの関連キーワード

公開日:2018年10月09日

  • facebook
  • twitter