DTL建築セミナー 空間・素材・建築 ―令和時代の建築作法

第4回「場を生かす環境づくり」

京智健(建築家、京智健建築設計事務所/カイトアーキテクツ)

まちの風景や機能を重ねていくこと

たくさんの作品を拝見した中で、地域の交流を目的とした依頼に対して取り組んでおられる姿勢が、特に印象的でした。また、その取り組み方についても学ばせていただきました。
地域に寄り添った施設を改修していくには、そこにいかに人が集まり、いかに楽しめるかなどの魅力を持たせ、さらにその建築物が地域の方々に必要とされていき、そして利用価値を高めていく空間へと育っていくことが必然なのだということを理解しました。また、地元資源を利用し、構造体を現したり、内装に木材を多用することも、京さんの建物の魅力を感じさせる要素のひとつだとも感じました。
拝見した作品の中で、特に印象的だったのは、明治期の古民家を地域交流施設にリノベーションした「MINDE」でした。外観は和風建物で昔ながらの良さを残しつつ、カフェやワークスペース等を設け中庭は24 時間開放するといった、現代のライフスタイルに沿った使い方を提案し、老若男女さまざまな方からの目線で考えられた施設であると感じました。また、結婚式ができるというのもプラスαされた使い方としてすごく魅力的でした。
京さんがおっしゃっておられた「そのまちの風景や機能を重ねていく」ことで地域交流を高め、将来的にも持続できる建築物の構築は本当に重要だと考えます。
これから先もこのような活動を続けていかれるのだと思いますので、完成していく作品にまつわるお話をその背景も交えながら、ぜひまた伺いたいと思います。

小林 美紀子(こばやし・みきこ)、徳田 有加(とくだ・ゆうか)

有限会社アトリエJIGSAW

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公開日:2020年02月27日