INTERVIEW 001 | SATIS

使うほどに馴染んでいく家
── ノンブローハウス

設計:海野健三/海 建築家工房 | 建主:藩賢毅さま(ヘアスタイリスト)

  • facebook
  • twitter

暮らしの真ん中にキッチンを置く

この家の中心はキッチンです。料理好きの奥さんはキッチンにいる時間が長いようです。キッチンは中庭に面し、家のすべての場所を見渡せます。家族それぞれが自分の居心地の良い居場所にいながらその中心がキッチンに向かっています。
このキッチンはリッシェルSI。通常既製品はできるだけ使わないという海野さんですが、奥さんがキッチンの機能性を特に大切にしたいとの要望もあり、普段とは違う「既製品とのコラボレーション」に挑んでみました。キッチンを家具のようにプロダクトとしてとらえ、手作りの空間の中に対峙させてみたかったと言います。またリッシェルSIのセラミックトップは既製品特有の工業製品とは少し違う素材感のあるテクスチャーも気に入られたようです。大きな空間の中でバランス良く対峙していました。奥様もこのキッチンに大満足のようです。

家の中心に置かれているシステムキッチン。「リシェルSI」

家の中心に置かれているシステムキッチン。「リシェルSI」

素直でありたい

海野さんは、家を考える時、敷地の条件になるべく素直に建築を作っていきたいと言います。光や風、外の景色などを配慮して無理をしないで、自然とそうなる形を探していくのだそうです。そのことを「素直な建築」、「飾らない建築」、「おおらかな建築」という言い方をします。建築の形態や空間を劇的なものにしていくのでなく、あくまでも素直に、素材の特徴を生かし、自然体のかたちを模索していくのです。
しかし、自然体とは「容易な」とは違います。その自然体の建築を実現するために、空間の使われ方はもちろん、素材選びやディテールの追及には時間を惜しみません。海野さんはそのあたりに明確なポリシーを持っています。それは「建築は自分の生き方の投影であるといいます。自分がそうであるように便利なものを求めない、機能的であることを追及しすぎず、既製品に頼りすぎず、現場でつくっていくことうを考えるといいます。」それは機能的なことが嫌なのでなく、そこに自分の存在意義が見つけ出せないというのです。

ダイニングは大きな中庭に面している。その奥のキッチンからは常のこの中庭がの風景が見えるようになっている。

ダイニングは大きな中庭に面している。その奥のキッチンからは常のこの中庭がの風景が見えるようになっている。

次がある家

完成されすぎることで大らかさがなくなるとも言っていました。確かにこの家はどこを見てもまだ完成していないようにも見えます。そのことが、そこに次の何かににつながる余地があるのです。すべてが完結するのでなく空間も素材も、そして間取りも時代とともに移ろいでいくように余韻があります。「次がある…」とも表現されていました。時間がたってこの家がどのように変化していくのかとても楽しみです。

このコラムの関連キーワード

公開日:2017年11月30日

  • facebook
  • twitter