INTERVIEW 002 | SATIS

視線が暮らしを変えていく
── 内と外の家

設計:藤原徹平/フジワラテッペイアーキテクツラボ | 建主:幸和ハウジング株式会社さま

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家事は主婦がする時代ではなくなりつつある

このように多様な暮らし方を想定した時、家事は主婦が一人でする時代ではなくなるかも知れません。藤原さんの知り合いのなかには週末は料理の好きな人が集まって交代でシェフをしてパーティをするという人もいるそうです。つまり結果的に外の人が家事を行うということが起きます。また料理が好きな男性も増えています。料理を創造的なエンターテーメントして考えるようになると今まで家事を労働として捉えていた時代とは様相が変わるのかもしれません。また趣味と実益を兼ねて、料理教室や料理研究会をもつような人もでてくるでしょう。こうなると外の人が家の中に入る機会が増えてきます。空間における視覚的な開放性だけでなく暮らし方や働き方自体が社会との接点をもたらすようになりつつあります。そうした時代には、家事は主婦が行うという考え方からもっと自由になるかもしれません。

キャンプのための家具のような気軽なキッチンをつくりたかった。

キャンプのための家具のような気軽なキッチンをつくりたかった。

2階のリビングからは大きな窓があり、外の様子がいつも見える。

2階のリビングからは大きな窓があり、外の様子がいつも見える。

パントリーの重要性

この家には大きめのパントリーがあります。多世代で暮らしたり、外の人が料理をしたりすることが多くなると、ものの場所がわかりやすく、また片付けやすい収納場所が必要になります。キッチンを大きくするよりもパントリーをいかに整備するかが重要だそうです。さらにエンターテーメントとして料理を楽しむようになると、料理に合わせて器を選んだりもしたくなり、食器類も増えそうです。この家のキッチンのカウンターには大型で薄型のセラミックスをつかっています。様々な使い方が想定されるこれからのキッチンは、料理をする設備というだけでなく、家具のようにどこに置かれても違和感のないようになるべきだと考えたそうです。そのために、カウンタートップはステンレスや人工大理石のようなキッチンによく使われる素材でなく、陶器という日本人にとって馴染みの深い素材でできているセラミックという素材がとても合うと考えました。

左側の壁の奥がパントリー、手前側がトイレになっている。

左側の壁の奥がパントリー、手前側がトイレになっている。

空間のあり方が人の意識を変えていく

空間のあり方が日々の意識にも影響を及ぼすのです。この家で試みたチャレンジは社会と自分との関係をより開き、大家族や多世代、または様々な形での暮らし方がより健全に、そして前向きになっていくように考えています。そして実はこうした家のあり方が、かつて日本人が経験してきた中間領域の心地よさといえるのです。

キッチンのスタディスケッチ。様々なスタディを繰り返して現在の形になった。(クリックで拡大)

2階リビングからその上のキッチン、ダイニングスペースを見上げた様子。

2階リビングからその上のキッチン、ダイニングスペースを見上げた様子。

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公開日:2017年11月30日

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