DISCONNECT/CONNECT【ASAO TOCORO×NOIZ】
幾何学文様の律動、タイリングの宇宙──無限につながる幾何学文様、タイルと出会う
野老朝雄(美術家)×noiz
『コンフォルト』2021 August No.180掲載
美術家・
二次元でどこまでもつながっていく紋様を、リアルなタイルを通し、展示構成したのは建築デザイン事務所noiz。
2020 年夏に東京・京橋のLIXIL ギャラリー(*)での実展示からオンラインの映像配信に転じた展覧会が、愛知・常滑のINAX ライブミュージアム「土・どろんこ館」でパワーアップし展開。驚きに満ちた空間体感が待っている。(※会期終了)
*2020年9月閉館

RHOMBUS WORKS【JAGGED】
正12角形を5種類の菱形60ピースで構成した作品をタイルで製作。幾通りもの組み替えができ、その数は億を超える。直径は77㎝。展示ゾーン1 中心の台の上で、光を受けて回転する。野老朝雄さんのデザイン、「LIXILものづくり工房」が製作。
常滑のINAXライブミュージアム「土・どろんこ館」で開催された展覧会、DISCONNECT/CONNECT【ASAOTOKOLO×NOIZ】展は、幾何学紋様とタイルを掛け合わせた展示というだけには収まらない。五感が湧き立ち、理屈抜きに「おもしろい!」とマスクの下でささやいている自分に気づくのだ。
美術家・
「紋様の〈個と群と
今回の展示の中心に置かれた正12角形の
タイルでつくった立体的な幾何学紋様

RHOMBUS WORKS【JAGGED】の菱形のピースは60度、30度と正方形、山波の方向が異なる2種を加え、合計5種で構成。釉薬は1色だが、尾根は流れて薄く、谷の部分は溜まって濃くなり、光が当たるとさらに複雑な色合いになる。

展示ゾーン2のタイルのピラミッド状の構造物。INTERTWINEDの1単位を焼きつけた200角タイルを張った。目地のない突付けにしている。

展示ゾーン1の中心に据えられ、回転しながら照明を浴び輝く。

パネル展示では、結びつくイメージの紋様INTERTWINEDを200角、100角、50角の3種類の大きさのモザイクタイルに焼き付け、異なるスケールを組み合わせて展開。4枚でできる紋様を1単位としている。
曼荼羅を構成する紋様タイル
会場計画は野老さんのルールに則って発想し、寸法などに倍数を用いている。空間全体に緊張感が生まれるという。

展示ゾーン1。正12角形のRHOMBUS WORKS【JAGGED】を中心に、各辺の位置にINTERTWINEDの10基のパネルが設けられている。

展示ゾーン2には8段のタイル張りのピラミッド状の構造物が2基、向かい合う。写真右の白色タイルのピラミッドには、紋様の動きが音楽と連動する映像のプロジェクションマッピング。

上右/INTERTWINEDがその魅力を演じるように動き出す。上左/INTERTWINEDを構成する円弧の線画も出現。野老さんが、ぜひ見てほしいという場面だ。下右/東京2020オリンピック・パラリンピックのエンブレムで知られる組市松紋も多様なパターンを繰り広げる。下左/パネル展示の曼荼羅群が立体化。
音楽と呼吸を合わせ、紋様が駆けるプロジェクションマッピング
全編6分30秒。1拍1秒のリズムを刻みながら、幾何学紋様が生き物のようにキューブの上を縦横に流れ、回転し、切り替わっていく。

白っぽい服を着ていれば、紋様の世界と一体になる楽しい瞬間に!
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公開日:2021年12月22日