まちの空間を活かす 2

人の流れを変えた新宿駅東南口の高架下空間

誰もが気持ちよく訪れてもらえる環境づくり

デザイン性が高く明るい印象に一新した高架下の喫煙スペース。

観光案内所の向かいには喫煙スペースがあり、国道20号高架下空間活用の目的の一つ「周辺環境の向上」として、自転車等駐輪場の拡幅とともに整備された。
元々、新宿駅東南口広場の階段下に設けられていたが、植栽で囲っただけの狭いスペースだったため、煙が周辺に拡散する、喫煙者がスペースから溢れてしまうなどといった問題を抱えていた。来街者の多い新宿区では、路上喫煙・受動喫煙防止対策として分煙化整備を進め、さまざまな人々を迎えるための環境づくりを行っている。新たに設けられた喫煙スペースは、ガラス壁と木調の格子の外観が明るい印象で約100?Fの広さを持つ。歩道側に設けた木調の格子は、デザイン性だけでなく閉塞感をなくす役割も果たし、喫煙者を直接見えづらくしながら内部の人の気配が外から分かるように配慮している。6:00?24:00の利用時間には、国籍・性別を問わず幅広い層の喫煙者で混み合っているが、活性炭・消臭フィルター等を備えた換気設備により外部に煙が漏れることはなく、吸い殻も落ちていない。高架下の喫煙スペースは、喫煙する人を排除せず、喫煙しない人も気持ちよく歩行できる空間をつくり上げ、新宿駅東南口広場全体の環境改善を実現した。
また、喫煙スペースのほか、通行の支障や景観の阻害となる放置自転車対策として、以前から運用していた自転車駐輪場を自転車約600台・バイク約90台が駐輪できる施設に拡充し、駅周辺環境の向上を図っている。

新宿区では、基本政策の一つに「賑わい都市・新宿の創造」を挙げている。 新宿駅東南口広場から高架下を抜けた商業施設・NEWoMan(ニュウマン)前の歩道でもオープンカフェの社会実験を行っていて、2018年4月の本格実施を目指す。魅力的で歩いて楽しいまちづくりを進めるとともに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会とその開催後も見据え、文化・観光・スポーツ、都市基盤整備、ユニバーサルデザイン、環境にやさしいまちづくり、商店街や産業振興などの施策を総合的に進めている。国際観光都市・新宿としての魅力とブランド力を高め、誰もが愛着と誇りの持てる、やすらぎと賑わいのまちの実現に向けて取り組んでいる。

撮影/シヲバラ タク(特記を除く)

写真左:黒と木を基調とした内装で落ち着いた雰囲気。
写真中央:おしゃれなサイン。

以前の喫煙スペースの様子。(提供:新宿区)

喫煙スペースの並びにある自転車等駐輪場。横を通る埼京線が見える。

国道20号高架下から続く「NEWoMan」前の歩道ではオープンカフェを社会実験中。新宿駅東南口周辺の回遊性が高まっている。

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公開日:2018年02月28日