窓上手のテクニック/PASSIVE DESIGN COME HOME 木村真二の窓上手になるパッシブデザインのコツ

設計手法D パッシブデザインと高断熱の比較 2

「バランス型パッシブデザイン」の場合は

前回の表の一番下、当社が現在標準で提案している等級6.5(G2.5)とでも言うべきUA値0.38まで断熱性能を高め、さらにパッシブデザインでηACを0.8、ηAHを2.2とすると、一次消費エネルギー量は55,144MJで「G3高断熱型」より小さくなり、BEIは「G3高断熱型」と同じ0.58となります。
この「バランス型パッシブデザイン」の場合、費用は、「G2パッシブデザイン型」から躯体と窓の性能アップ分で約50万円の増加で済み、性能だけでなくコストのバランスも良いと思います。
もちろん「G3高断熱型」よりも費用の増加を抑えることができます。
省エネはUA値とηACとηAH、そしてコストのバランスが重要だということが、お分かりいただけたのではないでしょうか。

ηAHを大きく、ηACは小さく、が基本

冬は南に大きな窓をつけて日射熱を入りやすくする=ηAHを大きくする。
夏は日射遮蔽などで日射熱を入りにくくする=ηACを小さくする。
これが基本です。
ただし南に窓たくさんつけても、そこに日射が当たり室内に日射熱が入ってこないと意味がありません。
だからこそ日照シミュレーションできちんと日射熱が入るかを確認することが大事になるのです。
バランス型のパッシブデザインで大事な事
計算とシミュレーションを繰り返しながら性能のバランスをより良くするのがパッシブデザインのプロセスで、そこに設計の基本である意匠やプラン、庭、お客様の要望、そして予算とのバランスを重ねて考えていくのが私の設計手法です。

バランス型と超高断熱型、2つのパッシブデザイン

ここまで紹介して来た「バランス型パッシブデザイン」は、平均日射取得率ηAを重視し、日照シミュレーションして南の窓にきちんと日射が当たるよう設計することで、LIXILさんで言えば「サーモスUH」「TW」といったアルミ樹脂複合窓を使って小さなエネルギーで快適な住まいにすることができます。
ただし、地域と予算次第では等級7以上の超高断熱とし、窓にもトリプルガラスの樹脂窓や木製窓を使う「超高断熱型パッシブデザイン」とすることもあります。
省エネになるならどちらでもいいですが、私個人としては「バランス型」が楽しいですね。
これはUA値0.32、ηAC0.7、ηAH1.7を実現した「森を眺める平屋の家」という当社の実例です。
日照シミュレーションも行ったうえで、軒が長いので横長に窓を配置しました。
また方位が南西のためL字に窓を配置しています。

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