窓上手のテクニック/PASSIVE DESIGN COME HOME 木村真二の窓上手になるパッシブデザインのコツ

対談E パッシブデザインのプロセス 4
株式会社PASSIVE DESIGN COME HOME 代表取締役 木村真二 氏×新建新聞社代表・三浦祐成 氏

パッシブデザインのメリット

三浦:今日の木村さんの話で改めてなるほどと思ったのは、等級6.5というかG2.5というかあたりまで断熱性能を高めたうえで、パッシブデザイン=日射熱のコントロールをきちんと行うと、等級7・G 3と同じぐらい省エネで快適になり、コストもそこまではかからなということです。
木村:しかも蓄熱までやると、さらに効果が出ます。
床で蓄熱させるとあまり面白くないですけど、壁に蓄熱させるとか、他と違った考え方とデザインでオリジナルな建築ができて、しかもお客様に喜ばれる。

この写真は壁などでの蓄熱を工夫した実例です。
三浦:高断熱というハード+等級表示だけだと、すぐ追随され同じ土俵で比較されるので、最高等級7までやらないと他社に勝てないと思ってしまいがちです。
パッシブデザインという地力で勝負したほうがいいですね。
木村:繰り返しですが、日照シミュミレーションが大事です。
国の計算プログラムは、あくまで周りに建物が何にもない想定での計算にすぎません。
実際には周りに家があって日陰もできてしまうので、日照シミュレーションをきちんとやって陽がきちんと入るようにしてあげる必要がある。
そのうえで窓をきちんととって、性能とコストで選んでいく。

エネルギーを「円」に直して提示

木村:先ほど一次消費エネルギーの算定に触れましたが、エネルギーだけだとお客様は自分ごとになりにくいので、「円」 に直して提示することもやっています。

以下のスライドは提案時に使っているもののサンプルです。
家づくりは、生涯コストで考えましょう!
一次消費エネルギー計算/光熱費比較
小さなエネルギーで快適な暮らしを!
家づくりは、生涯コストで考えましょう!
一次消費エネルギー計算/光熱費比較
小さなエネルギーで快適な暮らしを!

考えたプロセスを残し顧客と共有する

木村:あと、先ほどのゾーニングはアイデアをたくさん出していくこと、それを手を動かして表現することが大事です。
答えは1つではないので。
大事なのは、考えた過程を残して、お客様に見せることです。
こんなに色々考えてくれたんだ、情熱をもって家づくりをしているんだということが分かってもらえて、ファンになってくれるきっかけになったりします。
木村:一方で、手描きの美しいパースでプレゼンされる方もいると思いますが、プレゼンにはCGソフトを使えばいいと割り切っています。
大事なのは「メンドクサイを効率化する」ことだと考えています。
CGソフトの活用もそうだし、先ほど言った日照シミュレーションをしてロジカルにプランを考え、お客様が変更を希望しないような設計を行うことも効率化の1つです。
木村:美しいパースでお客様を感動させるのではなく、省エネ・快適・デザインといった本質的な部分で勝負していきたい。
そして、一生懸命検討した過程をお客様に伝え、お客様の納得と共感を得る。
そんなことを考えて設計しています。
三浦:先ほどの「5つのP」みたいな話で、お客様に考え抜いたっていうプロセスをきちんと見ていただいて、その結果も込みで理解してもらう、評価していただくことが大事だなと改めて思いました。

計算・シミュレーションを業界の当たり前に

三浦:木村さんと意見が一致するのが、計算・シミュレーション、そして実測をきちんとやるというカルチャーをこの業界につくりたいと言うことですよね。
でもなかなか進んでいかない。
ここは実務者として怖い部分もあるのでしょうか。
ここを乗り越えたら日本の建築も一歩先に行くような気がしますが。
木村:最初はやっぱり怖かったです。
実測はもちろん、シミュレーション結果を出すことすら。
引き渡し後「これ合ってないよね」って言われたらどうしよう、と。
特に光熱費まで出すじゃないですか。
でも、たいがいはシミュレーション通りの結果になりますし、たとえ悪い結果になったとしても、そこは自己反省をして改善していくしかない。
シミュレーションと実測をしないと日本の住宅は良くなっていかないと思います。
このスライドはシミュレーション(SIM)と実測(MJ)の比較をした例ですが、それほどずれていないと思います。
暖冷房と給湯器エネルギーの検証
三浦:みんなで寄ってたかってシミュレーションと実測の結果を公表していきたいですね。
それが一番のプレゼンテーションになるはずなので。
木村:そうなんですよ。
私はデータ取りと検証にHEMSを使っていますが、国にはHEMSによるデータ取りを標準にしてと言いたい。
せめてもっとHEMSに補助金が出すとか、国が費用負担するくらいのことをやってかないと。
三浦:まったくそうですね。
そこは一緒に何かやっていければと思います。
今日は木村さんにパッシブデザインの基本、そしてシミュレーションと実測の重要性を伝えていただきました。
ありがとうございました。

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