窓上手のテクニック/PASSIVE DESIGN COME HOME 木村真二の窓上手になるパッシブデザインのコツ

対談D パッシブデザインのプロセス 3
株式会社PASSIVE DESIGN COME HOME 代表取締役 木村真二 氏×新建新聞社代表・三浦祐成 氏

パッシブ設計ルール

窓の選定と窓面積の検討

木村:ルールの8、9はこの通りです。10-16はここまで説明しましたね。
木村:15のように自分の建物で日陰をつくってしまう時があるので、実際の建物で日照シミュレーションして、自身の建物からの日影影響を確認することが不可欠です。
実際の建物で日照シミュレーションで自身の建物からの日影影響を確認する
三浦:窓の選定はどの段階で?
木村:窓については、緻密に何平米ぐらいあるかを確認しつつ、1回プランをつくって、窓も大体で配置して計算してみて、ちょっと多いなと思ったら削るし、少ないなと思ったら増やします。
窓面積を増減したらプランに反映しないといけないので、行ったり来たりしながら確定していきます。
三浦:実際は断熱性能と日射を考えて選ぶということでしょうが、Twitter なんかを見ていると、最近は一般のお客さんの方が樹脂窓じゃないとダメみたいなことを言っていたりします。
木村:6地域なのでそこまで断熱性能の高い窓を使う必要はなく、結露の心配もほとんどないので、前述のように当社はLIXILさんの「TW」 をまずベースにして考えています。
木村:ただ、南に大きい窓を付けたい場合なんかは悩むわけです。
樹脂窓にすると枠がちょっと太くなるので、風景を見る窓にしたい場合はどうしようかな、とか。
だったら東西北を樹脂窓のトリプルにして計算してみよう、小さな窓にしたらそんなにコストはかからないな、みたいなことを考えて選んでいます。
「樹脂窓じゃないんですか?」って言われるお客様には、一生懸命こうした説明をすると、「そうだよね」と分かっていただける場合が多いです。
三浦:LIXILさんと他社メーカーさんの窓を混ぜて使うこともあるってことですね?
木村:あります。ただベースはLIXIL製品ですよ。
木村:あと、主たる居室の床面積と窓の取り方によってBEIが変わってくる点もポイントです。
先ほどの通り、BEIは0.6が目標で、できれば0.55以下を目指します。
主たる居室の南の窓面積は、陽の当たる南の窓面積で20%以上とし、陽の当らない面積分は入れない。窓面積の合計は延床面積の20%〜22%程度にする、というのがパッシブ設計ルールです。
主たる居室(LDK等の面積)面積・窓面積を調整する

計算・シミュレーションで自社基準を確認

木村:もちろん省エネ計算、一次消費エネルギー算定もしっかり行い、自社の基準以下であることを確認します。
改めて触れると、自社基準はUA値0.46以下、ηAC1以下。
ηAHはUA値0.46なら2.5、UA値0.40なら2.0、UA値0.30なら1.8。
スタッフに計算を任せている場合でも、この数字をクリアしてない時は突き返してやり直してもらいます。
外皮計算(省エネ計算)を行う
一次消費エネルギー算定を行う
外皮計算(省エネ計算)を行う
一次消費エネルギー算定を行う
木村:自然室温もシミュレーションで確認します。
朝冬の朝6時で最低でも15℃以上、等級7だと18℃以上に。一方夏はMAXを25℃以内に。
等級7にして、ηACは小さく、ηAHは大きい、が朝も自然室温が上がるので理想ですが、コストとのバランスも必要ですね。
お客様がどこにコストをかけたいのかを汲み取りながら考えていきます。
自然室温を確認する

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