パッシブファーストな家づくり
エネルギーの削減も、健康・快適な暮らしも、“建築力”で大きく差がつく住宅づくり。
2025年、省エネ基準適合義務化がスタートし、今後も住宅の高断熱化がますます進んでいくことが予想されます。
しかし、住宅を省エネ・快適にするポイントは、断熱だけではありません。たとえば、冬、大きな窓から日射熱をたっぷり採り込むことができれば、効果的に部屋を暖めることができ、暖房負荷の大幅な軽減につながります。大切なのは、日射熱や風、光といった自然の力を有効活用する“建築力”です。開口部を中心とした建物の工夫で、エネルギーの削減効果を高め、さらに健康・快適な暮らしにも貢献する「パッシブファースト」という住宅づくりの考え方をご提案いたします。
パッシブファーストのポイント
断熱は当たり前。 日射のコントロールが最大のポイントです。

日射コントロールの差による効果の違いの例

※算出条件:自立循環型モデルプランにて一般的な設備で試算
UA値:窓や壁などから熱がどれくらい逃げているのかを家の外皮全体で平均した値です。UA値は数値が低い方が断熱性能が優れています。
ηA値(平均日射熱取得率):どれくらい日射が入ってくるかを家全体で平均した値です。ηAHは冬の日射熱取得を表し、数値が高い方がより多くの日射を採り込めます。ηACは夏の日射熱取得を表し、数値が低い方がより日射の侵入を抑制できます。
断熱室内の快適な温度を逃さない
室内の暖かさ・涼しさを保つために、まず最初に考えたいのが断熱性能の向上。エアコンの効きが良くなり、室内の快適な温度を長くキープできるため、省エネ・節電につながります。また、上下温度差や部屋間の温度差が低減され、足元の冷え解消やヒートショックの予防も期待できます。
窓から熱が入り、窓から熱が逃げていく
住宅の中で最も熱の出入りが多いのが窓やドアなどの「開口部」。健やかで快適な省エネ住宅づくりのためには、窓やドアの断熱性を高めることが重要です。

※算出条件:自立循環型モデルプランにて一般的な設備で試算
プランニングのテクニック
開口部の断熱性能を高める
住宅の中で最も熱が逃げやすい「開口部」の断熱性能を高めることが重要です。窓は、樹脂窓やハイブリッド窓といった高性能窓がおすすめ。優れた断熱効果で結露の発生も抑制できます。

天井・壁・床・基礎の断熱性能を高める
開口部だけでなく、天井・壁・床・基礎も断熱性能を向上させることで、冬も夏も健康・快適・省エネな住まいを実現できます。特に、日射の影響を受けやすい天井(屋根)の断熱が重要なポイントとなります。

外皮平均熱貫流率の違いの例
以下のように、断熱性能(UA値)を高めると、エネルギー消費量を大幅に抑えることができます!
※算出条件:自立循環型モデルプランにてη値は変更せず一般的な設備で試算(ηAH値1.4・ηAC値2.0)
さらに! 断熱がしっかりしていると、プランニングの自由度も高まる!
☑大空間プランが可能 ☑北側に大きな開口を設けることができる ☑北面の部屋を有効活用できる ☑温度バリアフリーでヒートショックリスク軽減
おすすめ商品
大開口でも暖かく。樹脂とアルミの複合構造により、高い断熱性能と美しいデザインを両立した高性能窓。
これまでの樹脂窓とは一線を画す、すっきりとした意匠。美しさと使いやすさを追求した樹脂窓。
ドア厚60oに凝縮された先進の断熱テクノロジーにより、日本トップクラスの断熱性能を実現。
本物志向を魅了する素材美と未来の暮らしを先取りする先進機能を兼ね備えた、時代に先駆けるフラグシップ。
日射熱取得日射熱の活用で、冬をもっと暖かく
冬、住まいを快適にするポイントは窓をしっかり断熱することが大切ですが、加えて、窓から入る日射熱を活用することでさらに快適さがアップします。冬は南面の低い位置からたくさん日差しが入ってくるため、南面に大きな窓を設ければ、効果的に暖房負荷を低減できます。
冬は南面から日射を取得することが重要ポイント
冬の季節、日射量が多いのは南面なので、南側からの日射をたくさん採り込むことで、暖房エネルギーとして利用することができます。

プランニングのテクニック
大きな窓を選ぶ
例えば南面の窓の面積を10uから20uまで広げると、約3,000W分の熱量を得られる計算に。一般的な電気ストーブが1,000Wなので、約3台分に相当します。
※東京で1月に南側垂直窓における12時の平均全天日射量約600w/u。窓はサーモスU-H単体引違い窓 Low-E透明複層ガラス(クリア)の場合、日射熱取得率46?47%にて試算。
ハイサッシにするとさらに効果的
一般的な掃き出し窓の高さは2〜2.2mですが、天井の高さ(2.4〜2.7m) まで窓を大きくすることで、より部屋の奥まで日差しを採り入れることが可能となり効果も大きくなります。
※TW 単体引違い窓 Low-E 複層ガラス 16520サイズと16524サイズと16527サイズの比較。
日射熱を採り込むタイプのガラスを選ぶ
Low-Eガラスのクリアや高日射取得ガラスを選ぶと日射熱をより多く採り入れることができます。
フレームがスリムな窓を選ぶ
サイズやガラスが同じ窓であっても、フレームがスリムな窓を選ぶと、その分ガラス面積が大きくなり、より多くの日射熱を採り込むことができます。
日射熱取得をさらに高めるテクニック
窓の配置次第で、“入る熱量”を増やすことができる
冬は、南面の日射量が多くなります。そのため、南面に窓を多く配置することで、“入る熱量”をより増やすことができます。
※TW 単体引違い窓 Low-E 複層ガラス 16520サイズと16524サイズと16527サイズの比較。
LDKで日射が当たる南側の窓面積が
LDKの床面積の20%以上になるようにする
[ 計算例 ]
LDK:31.05u / 窓:16522 × 2カ所
□窓面積:1.65m × 2.2m × 2カ所 = 7.26u
□LDK床面積と窓面積の比率: 7.26u ÷ 31.05u = 0.23
→ LDK床面積の23%
建物の方位や遮蔽物も、“入る熱量”に影響を与える
効率よく“入る熱量”を増やすためには、住宅の向きや南隣家との距離もポイント。立地条件に応じて建物の方位や形状を工夫することも大切です。
平均日射熱取得率ηAHの違いの例
以下のように、冬の日射熱取得(ηAH値)を高めると、エネルギー消費量を大幅に抑えることができます!
※算出条件:自立循環型モデル住宅プランにてUA値・ηAC値は変更せず一般的な設備で試算(UA値:6地域 0.87/3地域 0.56・ηAC値2.0)
おすすめ商品
TW 引違い窓4枚建
新構造の「スレンダーマリオン」は、縦フレームの幅が揃い正面から見たときもすっきり美しく、視界も大きく広がります。
TW H27規格サイズ
今まで以上に高い天井高に対応できるH27規格サイズ。空間を広く見せる効果が期待でき、採光性・眺望性もアップ。
1枚障子の大開口スライディング窓。まるで窓が存在しないかのようなすっきりとした美しい窓辺へ。
TWコンセプト
土間スライディング
土間空間を快適に楽しむための土間スライディング窓を設定。2枚建と4枚建をご用意。
Low-E複層ガラス クリア
(高日射取得仕様)
無色透明の特殊金属膜をコーティング。優れた断熱性能と日射熱取得率を両立。
日射遮蔽夏の暑い日差しをしっかりカット
冬に日射を取得できる仕様にした場合、夏はしっかり遮蔽することが重要となります。夏の暑さが厳しい日本では、窓から大量の熱が侵入してくるので、窓の遮熱性を高めたり、窓まわりで日差しをしっかりカットすることがとても大切です。
日差し対策は窓の外側でカットするのが効果的
カーテンでカットしても室内まで熱が入ってきてそのままこもってしまうため、ひさしやシェードなどを活用して“窓の外側”でカットするのがポイントです。

※1 一般複層ガラスの窓にスタイルシェードを使用した場合です。関連JISなどに基づき計測および算出した値であり、保証値ではありません。
※2 温度条件:室内25℃、室外30℃、日射条件:東京 真夏 晴天の西日、使用ソフト:STREAM V9
プランニングのテクニック
南面の日差し対策
夏は高い位置から日差しが差し込む南面の窓は、ひさしやオーニングで日差しを遮るのが効果的。冬は暖かい日差しを部屋の奥まで採り込むことができます。
東西面の日差し対策
横から日差しが差し込む東西面の窓は、シェードや外付ブラインドで日差しをカット。すだれと違って適度に光も採り込めるため、部屋が暗くなりません。
平均日射熱取得率ηACの違いの例
以下のように、夏の日射遮蔽(ηAC値)を抑えると、エネルギー消費量の削減に効果を発揮します!
※算出条件:自立循環型モデル住宅プランにてUA値・ηAH値は変更せず一般的な設備で試算(UA値:6地域 0.87/3地域 0.56・ηAH値2.4) 注:外付ブラインドや軒庇を考慮することで、日射熱取得率を下げることが可能
おすすめ商品
スタイルシェード
窓の外側で夏に日差しをカットして、室内の温度上昇を抑制。エアコン効率アップで省エネ。
外付ブラインドEB
ブラインドの開閉とスラット角度の調節で、熱・風・光・視線をスマートにコントロール。
スリムアート
ルーバー状のひさしが、夏は上からの強い日差しを遮り、冬は暖かい日差しを採り込みます。
Low-E複層ガラス グリーン
(高遮熱仕様)
優れた断熱効果を発揮しながら日差しをカット。冬の暖房効果と夏の冷房効果を高めます。
自然風利用心地よい風を暮らしに採り入れる
気候の良い季節は、窓を開けて風が通り抜けていくと心地がいいものです。夏も、朝晩の涼しい風を採り込むことで、室内にたまった熱を外に排出することができます。また、換気の観点からも、自然の風を採り込むことはとても重要です。
風の入口と出口をつくり、通風経路を確保する
より効果的に風を通すためには、風の入口と出口を設けることがポイント。風の入口として風上側を、風の出口として風下側に開口部を設けて風を通します。

プランニングのテクニック
風をいざなう
暖かい空気は上に行く性質を利用し、無風状態でも空気の流れをつくる「温度差換気」。風の入口として1階に「地窓」、出口にとして2階に「高窓」を設ければ、視線を気にせず効果的に通風できます。

風を捕まえる
住まいの脇を通り抜ける風をつかまえる「ウインドキャッチ」。縦すべり出し窓の開閉方向を工夫することで、引違い窓の約10倍風を採り込むことが可能です。

風の通り道を確保する
風の入口と出口があっても間に遮るものがあると風が通りません。
ルーバータイプの室内ドアやランマなどで、風が抜ける工夫を行いましょう。

おすすめ商品
部屋の上部と下部に設置すれば、温度差換気が可能。電動タイプなら、リモコンで開閉操作もラクラクです。
吊元を変えて同じ壁の2ヵ所に設置すれば、外壁に流れる風を効率よく採り込め、同時に排出することができます。
ラシッサ ランマ付ドア
ランマを開くことで、廊下からの風を採り込めます。
ラシッサ 通風建具
ルーバーを開放すると、扉を閉めたまま風の通り道を確保できます。
昼光利用光がたっぷり入る明るい室内へ
室内に自然の光を採り込むことも、快適な暮らしの大切な要素。日中に照明をつけずに過ごすことができれば、光熱費の節約にもつながります。より多くの面から光を採り込み、より部屋の奥まで光を導くことができれば、住まい全体が明るく快適な空間になります。
できるだけ多くの面から光を採り込む
LDKなど家族が長く過ごす部屋は2面以上窓を設け、階段・廊下・洗面室などは1面以上窓を設けるようにしましょう。

プランニングのテクニック
リビングを吹き抜けにする
上の階の窓から入った光を下の階まで届けることができ、室内の奥まで光を導くことができます。明るさが均一になるといったメリットがあります。

建具を工夫する
廊下など光が届かない空間は、室内ドアをガラスタイプやランマ付きにすることで明るさを確保することが可能。室内窓を設置するのも効果的です。

天窓を設置する
上から光を採り込む天窓なら、壁面の窓に比べ約3倍の光を採り入れることが可能。十分に光を得られなかった部屋にも光を行き渡らせることができます。

おすすめ商品
玄関に窓を配置するスペースがなくても、大きなガラス開口のドアを選べば、たっぷり光が採り込めます。
ラフィス アルミガラス建具
閉めれば、空間の境目ができる。でも、光や視界は共有できる。区切りながらつなぐ、ガラスのハイドア。
光や風が通りにくい部屋と部屋の仕切りとして活用したいデコマド。ガラスの種類も選択可能です。
昼間のほとんどの時間で光を採り入れることが可能。UVカット効果が高いのもうれしいポイント。
“パッシブファースト”な住まいは地域の気候に合わせて、断熱と日射コントロールの
バランスを考えることが大切です。
同じ地域区分でも、重視すべきポイントは異なる
日本は南北に長く、北は亜寒帯から南は亜熱帯まで、さまざまな気候帯に属しています。また、日本海側に比べて太平洋側は日射量が多いなど、日本の中でも地域によって気候はさまざまです。そのため、同じ地域区分であっても、地域によって重視するポイントが異なります。
□ 平均気温と日射量の例
同じ地域区分でも、太平洋側は比較的日射量が多いため、日射熱取得を重視することが有効です。一方、日射が期待できない地域は、日射熱取得よりも断熱性を重視する方が有効となります。

※出典:気象庁ホームページ 冬の平均気温:12月〜2月の平均気温 冬の南面の日射量:12月〜2月の建物南面の1時間あたりの平均日射量の概算値
窓から入る「熱の収支貯金」の考え方
冬に部屋を暖かく保つには、窓からたくさんの日射熱を取り込み、逃げる熱をできるだけ少なくすることが重要です。そして、その蓄えた熱量が大きいほど部屋は暖かく、また暖房に使われるエネルギー量も少なく省エネになります。
□ 熱の収支(貯金)の例

※算出条件:日射量:400W/u・外気温度:5℃・室内温度:20℃、開口部:3u・熱貫流率:1.5W/uK・日射熱取得率:50%
地域に合わせた断熱性能を重視する「HEAT20」
HEAT20は省エネに加えて、冬の快適・健康な室内温度までを考慮し、住まい手の生活に寄り添った断熱性能をG1からG3として提唱しています。ただし、これらの水準は全国で同じではなく、地域の気象状況によって補正を行うことが重要であることを強調しています。

省エネルギー性能は6地域の暖房エネルギー消費量、非暖房室の最低室温は6地域の暖房期における居室の暖房運転開始前(朝方)の非暖房室の最低室温
地域補正のメリット
地域補正することで、建設地に本来必要とされる断熱性能値を把握できるので、お施主さまに省エネ性や快適性を実感いただけたり、建設費のコストダウンにつながる場合もあります。

健康・快適はもちろん、エネルギー消費量削減にも効果がある『パッシブファースト』。お施主様が求めるこれからの住宅設計の工夫をこの1冊でご紹介いたします。

